
ChatGPTをはじめとする生成AIは、調べものをしたり、文章を考えてもらったり、アイデアを出してもらったりと、さまざまな用途に利用できます。
「わからないことがあったら、とりあえずAIに聞いてみる」という人も増えているのではないでしょうか。
ただし、AIには何でもそのまま質問すればよいというわけではありません。
特に注意したいのが、個人情報やパスワード、会社の機密情報などです。また、医療や法律、投資など、AIの回答だけを頼りに重要な判断をするのも避けたほうがよいでしょう。
この記事では、
- AIに聞いてはいけないことはある?
- AIに入力しないほうがいい情報は?
- ChatGPTに個人情報を入力しても大丈夫?
- AIの回答を信じても大丈夫?
- 安全にAIを利用するにはどうすればいい?
といった疑問について、生成AIを初めて使う人にもわかりやすく解説します。
AIに聞いてはいけないこととは?

「AIに聞いてはいけないこと」というと、AIに質問しただけで何か問題が起こるように感じるかもしれません。
しかし、ここでは大きく分けて、
「AIに入力しないほうがよい情報」と「AIだけに判断を任せないほうがよいこと」
の2つがあると考えるとわかりやすいでしょう。
たとえば、自分の住所やクレジットカード番号を入力することと、「この病気だと思うけれど、この薬を飲めば大丈夫?」とAIだけで判断することでは、注意すべき理由が異なります。
まずは、この違いから見ていきましょう。
AIには何でも質問していいわけではない
生成AIは、日常生活の疑問から仕事、勉強、趣味まで幅広い質問に答えてくれます。
しかし、AIを利用するために必要のない個人情報や機密情報まで入力する必要はありません。
特に、
- 氏名・住所・電話番号などの個人情報
- IDやパスワード
- クレジットカード番号
- 顧客情報
- 社外秘の資料
- 公開前の会社情報
などは注意が必要です。
「AIが知っているかどうか」を尋ねることよりも、「自分がAIに何を入力するか」に気をつけることが重要です。
「聞いてはいけない」と「答えてもらえない」は違う
もう一つ覚えておきたいのが、「聞いてはいけないこと」と「AIが回答できないこと」は必ずしも同じではないという点です。
生成AIサービスには、それぞれ利用規約や安全上のルールがあります。
そのため、犯罪を助ける内容や、人を傷つけるための具体的な方法などを質問しても、AI側が回答を制限することがあります。
一方、個人情報や会社の機密情報などは、自分自身が入力しないよう注意する必要があります。
つまり、
「AI側が回答を制限する仕組み」と「利用者側が入力する情報に気をつけること」
は分けて考えたほうがよいでしょう。
質問するだけで危険になるわけではない
「AIに聞いてはいけないこと」という言葉だけを見ると、「変なことを質問すると危険なのでは?」と不安になるかもしれません。
通常の疑問や相談であれば、必要以上に怖がる必要はありません。
大切なのは、
「AIに知られて困る情報を安易に入力しない」
という基本的な考え方です。
たとえば、
「会社で人間関係に困っています。どう考えればいいですか?」
という一般的な相談と、
「○○株式会社の○○部長(氏名・電話番号・住所)は、こういう問題を起こしています」
と実在する人物の詳しい個人情報まで入力することでは、大きな違いがあります。
AIに相談するときは、質問に必要のない情報を省くことを意識しましょう。
AIに聞かない・入力しないほうがいいこと

では、具体的にどのような情報に注意すればよいのでしょうか。
代表的なものを見ていきます。
名前・住所・電話番号などの個人情報
まず注意したいのが個人情報です。
たとえば、
- 本名
- 自宅住所
- 電話番号
- 個人のメールアドレス
- 生年月日
- マイナンバー
- 運転免許証番号
- パスポート番号
などがあります。
もちろん、AIを利用するうえで名前などを入力する場面がすべて問題というわけではありません。
しかし、質問するために必要のない個人情報まで入力するのは避けたほうが安全です。
また、自分の情報だけでなく、家族、友人、顧客、取引先など第三者の個人情報にも注意しましょう。
ID・パスワード・クレジットカード情報
AIへの入力を特に避けたいのが、アカウントや決済に直接関係する情報です。
たとえば、
- ログインID
- パスワード
- 暗証番号
- クレジットカード番号
- カードのセキュリティコード
- 銀行口座の認証情報
- APIキー
などです。
「ログインできないからAIに相談したい」という場合でも、本物のパスワードを入力する必要はありません。
「パスワードを入力してもログインできません」のように、具体的な文字列を伏せたまま質問できます。
エラーメッセージなどをAIに見てもらう場合も、その中にID、メールアドレス、APIキーなどが含まれていないか確認してから入力するとよいでしょう。
会社の機密情報や未公開情報
仕事で生成AIを利用する場合は、会社の情報にも注意が必要です。
たとえば、
- 顧客名簿
- 社内だけで使用する資料
- 未発表の商品情報
- 売上や経営に関する非公開データ
- 取引先との契約内容
- 会議の議事録
- ソースコードやシステム情報
などです。
「この資料を要約して」とAIに依頼するのは便利ですが、その資料を外部のAIサービスに入力してよいかどうかは別の問題です。
会社によって生成AIの利用ルールが決められている場合もあるため、仕事で使う場合は社内規定を確認しましょう。
他人の個人情報やプライベートな情報
自分の情報だけでなく、他人の情報にも注意が必要です。
「友達についてAIに相談したい」
ということ自体は珍しくありません。
しかし、そのために相手の本名、住所、勤務先、電話番号などを入力する必要はないことがほとんどです。
たとえば、
「友人の○○○○さんが……」
ではなく、
「友人が……」
と置き換えても相談できます。
会社についても、
「○○株式会社の○○部長が……」
ではなく、
「勤務先の上司が……」
とすれば、必要以上に個人や会社を特定できる情報を入力せずに済みます。
AIに相談するときは「この情報は本当に質問に必要なのか?」と一度考えてみるとよいでしょう。
医療・健康についての重大な判断
AIに健康や病気について質問すること自体が、すべて問題というわけではありません。
たとえば、
「血圧とは何ですか?」
「健康診断ではどんな検査をしますか?」
といった一般的な情報を調べる用途には利用できます。
注意したいのは、AIに診断や治療の最終判断を任せることです。
症状には個人差があり、AIは実際に診察や検査を行うことができません。
そのため、体調に不安がある場合や治療・薬などについて判断する場合は、AIの回答だけで決めず、医師や薬剤師などの専門家に確認することが大切です。
法律や契約についての最終判断
法律についても同様です。
AIに、
「相続とは?」
「クーリングオフとは?」
といった一般的な仕組みを聞くことはできます。
しかし、
「この契約書なら絶対に問題ない」
「裁判をすれば必ず勝てる」
といった最終的な判断をAIだけに任せるのは避けたほうがよいでしょう。
法律は国や地域によって異なるほか、法改正によって内容が変わる場合もあります。また、個別の事情によって判断が変わることもあります。
重要な契約や法律問題については、必要に応じて弁護士などの専門家や公的機関に確認しましょう。
投資やお金についての重要な判断
AIは株式や投資信託、NISAなどの仕組みを説明することもできます。
ただし、
「この株を買えば儲かる?」
「今すぐ全財産をこの銘柄に投資しても大丈夫?」
といった重要な判断をAIだけに任せるのは危険です。
金融市場は常に変化しており、AIの回答が最新の価格や市場状況を正確に反映しているとは限りません。
AIは情報を整理するための参考として利用し、最終的な判断は自分で行うことが重要です。
犯罪や危険な行為につながる質問
人を傷つけたり、犯罪を助けたりする具体的な方法をAIに求めるのも適切な使い方とはいえません。
生成AIサービスでは、安全上の理由からこうした質問への回答が制限されることがあります。
ただし、防犯や安全対策として、
「詐欺メールを見分けるには?」
「空き巣対策として何をすればいい?」
などを質問することとは意味が異なります。
同じテーマでも、「危険な行為を実行するための質問」なのか「危険から身を守るための質問」なのかによって大きく違います。
著作権を侵害する可能性がある依頼
文章や画像を生成できるAIでは、著作権にも注意が必要です。
たとえば、市販されている本の記事や有料コンテンツを丸ごとコピーしてもらったり、他人が作った文章をそのまま自分の作品として利用したりすることには問題が生じる可能性があります。
AIが生成した文章だからといって、どのような使い方をしてもよいわけではありません。
ブログや仕事で利用する場合は、元となる情報の著作権や利用条件を確認し、他人のコンテンツをそのまま流用しないことが大切です。
AIに個人情報を入力するとどうなる?

AIに質問していると、相談内容を詳しく説明するために、自分や他人の名前、勤務先、住所などを書きたくなることがあります。
ここで気になるのが、
「AIに入力した個人情報はどうなるの?」
という点ではないでしょうか。
生成AIサービスによってデータの取り扱いは異なるため、「AIに入力した情報はすべて公開される」「すべてAIが永久に覚える」と一括りに考えるのは正確ではありません。
一方で、そもそも質問に必要のない個人情報は入力しないことが基本です。
入力した情報は必ず公開される?
AIに入力した内容が、そのままインターネット上に公開され、誰でも検索できる状態になるわけではありません。
ただし、「公開されないのだから何を入力しても大丈夫」と考えるのも避けたほうがよいでしょう。
生成AIサービスでは、サービスの提供や安全性の確保などのために、入力したデータが一定期間保存・処理される場合があります。
また、データの保存期間やモデル改善への利用方法などは、サービスやプラン、設定によって異なります。
そのため、
「ネットに公開されるかどうか」
だけで安全性を判断するのではなく、
「第三者に知られたら困る情報は、そもそも入力しない」
と考えておくのが安心です。
AIは入力した個人情報を覚えている?
これも利用するAIサービスや設定によって異なります。
たとえばChatGPTには「メモリ」と呼ばれる機能があり、過去の会話に関する情報を利用して、その人に合わせた回答を行える仕組みがあります。
ただし、「チャットに入力したことを何でも永久に記憶する」という意味ではありません。
ChatGPTではメモリを確認・削除したり、機能をオフにしたりすることもできます。
AIに情報を入力するときは、「AIだから会話が終われば全部消える」と思い込まず、利用しているサービスのプライバシー設定やデータ管理機能を確認しておくとよいでしょう。
名前や住所を入力してしまった場合はどうする?
「うっかり本名を書いてしまった」
「住所を含んだ文章をAIに貼り付けてしまった」
という場合もあるでしょう。
まずは、利用しているAIサービスにチャットの削除機能があるか確認します。
ChatGPTの場合は、チャットを削除することができます。
ただし、削除の仕組みやデータの保持期間はサービスによって異なるため、重要な個人情報を入力してしまった場合は、そのサービスの公式ヘルプやプライバシーポリシーを確認しましょう。
また、パスワードやAPIキー、クレジットカード情報などを誤って入力した場合は、チャットを削除するだけで安心せず、必要に応じてパスワードやキーの変更、カード会社への確認なども検討する必要があります。
「削除したから絶対に大丈夫」と決めつけないことが大切です。

ChatGPTに聞いてはいけないことはある?
ここまでAI全般について説明してきましたが、ChatGPTの場合はどうなのでしょうか。
ChatGPTもさまざまな質問に利用できますが、利用にあたってはOpenAIが定めるルールがあります。
また、個人情報などを扱う場合は、ChatGPTのデータ設定について知っておくと安心です。
ChatGPTにも利用ルールがある
ChatGPTでは、どのような質問にも無条件で回答するわけではありません。
たとえば、人を傷つけたり、犯罪を助けたりする可能性のある内容などについては、安全上の理由から回答が制限される場合があります。
その一方で、
「詐欺に遭わないためにはどうすればいい?」
「パソコンをウイルスから守る方法は?」
といった安全や防犯を目的とした質問まで禁止されているわけではありません。
単純に「この単語について質問してはいけない」と考えるより、質問の目的や内容によって対応が異なると考えたほうがわかりやすいでしょう。
質問しても回答できない内容がある
ChatGPTに質問したとき、
「その内容には対応できません」
といった趣旨の回答が返ってくることがあります。
これはChatGPTが故障しているわけではなく、安全上のルールなどによって回答が制限されている場合があります。
また、ChatGPTが回答してくれたからといって、その内容が必ず正しいことを保証しているわけでもありません。
「回答してくれる=正しい」
「回答を断られた=質問しただけで問題になる」
ということではない点も覚えておきましょう。
ChatGPTに個人情報を入力するときの注意点
個人向けのChatGPTでは、会話をモデルの改善に利用するかどうかを設定できます。
「設定」からデータコントロールを開き、「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにすると、それ以降の会話はモデルの改善には使用されません。
この設定をオフにしても、通常のチャットは履歴に残ります。
また、ChatGPTには「一時チャット」という機能もあります。
一時チャットでは、
- チャット履歴に表示されない
- パーソナライズのためのメモリを作成しない
- モデルの改善に使用されない
という特徴があります。
一時チャットは安全上の目的でコピーが最大30日間保持される場合があります。
そのため、一時チャットについても「入力した瞬間から何も保存されない」という意味ではない点には注意しましょう。
そして、こうした設定を利用している場合でも、パスワードやクレジットカード番号などの重要な情報を積極的に入力してよいということではありません。
「設定で守る」ことに加えて、「不要な個人情報を入力しない」ことが基本です。
ChatGPTで個人情報が気になるときに確認したい設定

ChatGPTを利用するときに個人情報が気になる場合は、データに関する設定を一度確認してみるとよいでしょう。
特に知っておきたいのが「データコントロール」「メモリ」「一時チャット」です。
データコントロールを確認する
ChatGPTでは、会話をモデルの改善に利用するかどうかをユーザーが選択できます。
Web版の場合は、
「プロフィールアイコン」→「設定」→「データコントロール」
から確認できます。
「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにすると、新しい会話はChatGPTのモデル改善には利用されません。
なお、この設定をオフにしてもチャット履歴そのものが消えるわけではありません。
「モデル改善への利用」と「チャット履歴への保存」は別のものとして考えましょう。
メモリを確認する
ChatGPTには、会話をより自分に合ったものにするためのメモリ機能があります。
たとえば、よく話すテーマやユーザーが覚えておいてほしい情報などを利用することで、毎回同じ説明をしなくても話を続けやすくなります。
メモリはユーザー側で管理でき、保存された内容を確認したり、削除したり、機能をオフにしたりできます。
「ChatGPTに何を覚えられているのか気になる」という場合は、メモリの設定を確認してみるとよいでしょう。
一時チャットを利用する
履歴やメモリに残したくない会話をするときに利用できるのが一時チャットです。
一時チャットでは、会話は通常のチャット履歴には表示されず、モデル改善にも使用されません。また、パーソナライズのためのメモリにも保存されません。
ただし、安全上の目的でコピーが最大30日間保持される場合があります。
そのため、
「一時チャットなら機密情報を何でも入力してよい」
という意味ではありません。
あくまで通常のチャットとは異なるデータの扱いを選べる機能として利用するとよいでしょう。
AIの回答をそのまま信じてはいけない理由

AIを利用するときは、「何を質問するか」だけでなく「返ってきた回答をどう扱うか」にも注意が必要です。
ChatGPTなどの生成AIは、質問すると自然な文章ですぐに回答してくれます。
説明がわかりやすく、自信があるような文章で答えることもあるため、つい「AIが言っているのだから正しいだろう」と思ってしまうかもしれません。
しかし、AIの回答が常に正しいとは限りません。
特に重要な情報については、AIの回答だけで判断せず、公式サイトや公的機関などの情報も確認することが大切です。
AIは間違った情報を回答することがある
生成AIは大量の情報をもとに文章を作りますが、すべての質問に正しい回答ができるわけではありません。
たとえば、
- 数字や日付を間違える
- 人物名や商品名を取り違える
- 制度の内容を間違える
- 複数の情報を混同する
- 質問の意味を誤解する
といったことがあります。
しかも、間違った内容でも自然な文章で説明されることがあるため、利用者が間違いに気づきにくい場合があります。
AIは「正解を検索してそのまま表示する機械」とは限らないことを覚えておきましょう。
存在しない情報をもっともらしく答えることがある
生成AIでは、実際には存在しない情報を、あたかも本当に存在するかのように回答することがあります。
このような現象は「ハルシネーション」と呼ばれています。
たとえば、
- 存在しない本や論文を紹介する
- 実際にはないWebサイトやサービスを紹介する
- 発言していない人物の言葉を紹介する
- 存在しない法律や制度を説明する
- 架空の出来事を事実のように説明する
といったケースが考えられます。
文章だけを見ると自然なので、知らない分野について質問した場合は特に注意が必要です。

AIがもっともらしく間違った回答をする「ハルシネーション」については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
→「ハルシネーションとは?簡単にいうと何?生成AIが嘘をつく原因や見分け方・対策をわかりやすく解説」
最新情報とは限らない
AIの回答が、必ずしもその時点での最新情報とは限りません。
生成AIによってはWeb検索などを利用して新しい情報を確認できる場合もありますが、すべての回答でリアルタイムの情報を参照しているとは限りません。
特に、
- 商品価格
- 営業時間
- 法律や制度
- サービスの料金
- アプリの操作方法
- キャンペーン
- スポーツの結果
- 株価や為替
などは変化する可能性があります。
「AIがそう答えたから現在もそうなっている」とは限らないため、最新情報が重要な場合は公式サイトなどで確認しましょう。
重要な情報は一次情報で確認する
AIの回答が正しいか確認するときに役立つのが「一次情報」です。
一次情報とは、その情報を直接発表している組織や機関などが提供する情報です。
たとえば、
法律や制度 → 国や自治体などの公的機関
商品やサービス → メーカーや運営会社
アプリの機能 → アプリの公式サイトや公式ヘルプ
会社の発表 → 企業の公式サイトやニュースリリース
といった情報が確認先になります。
AIは「調べるための入口」として利用し、重要な部分は一次情報で確認するという使い方がおすすめです。
特に医療、法律、お金など生活に大きな影響を与える情報については、AIの回答だけで判断しないようにしましょう。
AIに質問するときの安全な聞き方

ここまで読むと、
「では、AIには何も相談しないほうがいいの?」
と思う人もいるかもしれません。
その必要はありません。
個人情報や機密情報をできるだけ含めず、AIの回答を参考情報として扱えば、さまざまな場面で便利に利用できます。
ポイントは「質問に必要な情報だけを入力する」ことです。
個人を特定できる情報を削除する
AIに文章を入力する前に、個人を特定できる情報が含まれていないか確認しましょう。
たとえば、メールの文章について相談するとします。
そのメールに、
「神奈川県○○市○○町1-2-3に住んでいる山田太郎です」
と書かれていても、文章の添削だけが目的なら住所や本名は必要ありません。
不要な部分を削除してからAIに入力すれば、個人情報を必要以上に伝えずに済みます。
特に、メールや書類を丸ごとコピーしてAIに貼り付けるときは注意しましょう。
本文だけでなく、署名欄などに住所、電話番号、メールアドレスなどが含まれていることがあります。
実名を仮名に置き換える
相談内容によっては、人間関係を説明するために複数の人物を登場させたいこともあります。
その場合は実名を入力せず、
「Aさん」
「Bさん」
「上司」
「同僚」
「友人」
などに置き換える方法があります。
たとえば、
「○○○○さんからこのようなメールが届きました」
とする必要はなく、
「取引先のAさんからこのようなメールが届きました」
としても、文章の意味を理解してもらえる場合がほとんどです。
質問の答えに必要のない情報は、できるだけ省きましょう。
会社名や顧客名を伏せる
仕事でAIを利用するときも同じです。
たとえば、
「○○株式会社向けに新商品の提案書を作りたい」
という場合、実際の会社名を入力しなくても、
「食品メーカー向けに新商品の提案書を作りたい」
などと置き換えられる場合があります。
顧客名についても、
「A社」
「取引先」
「顧客A」
などに置き換えることができます。
もちろん、会社によっては生成AIそのものの利用方法が決められている場合があります。
仕事でAIを利用するときは、情報を伏せれば必ず問題ないと自己判断せず、勤務先のルールも確認しましょう。
「判断」ではなく「参考情報」を求める
医療や法律、お金などについてAIを利用するときは、「決めてもらう」のではなく「考えるための情報を整理してもらう」という使い方が適しています。
たとえば、
「この株を買うべき?」
と聞くより、
「この会社について投資を検討するときに確認したい項目を教えて」
と質問する方法があります。
健康についても、
「この症状は○○病ですか?」
とAIだけで診断しようとするのではなく、
「このような症状について医療機関を受診するとき、医師に伝えておくとよい情報を整理して」
といった使い方ができます。
AIを「判断する人」ではなく「情報を整理するアシスタント」として利用すると考えるとわかりやすいでしょう。
重要な内容は公式情報と照合する
AIから回答を得たら、重要な内容については公式情報と照らし合わせて確認します。
特に、
- 日付
- 金額
- 数字
- 法律や制度
- 料金
- 利用条件
- 申込期限
- 対応機種
- サービス内容
などは確認したほうがよいでしょう。
AIに、
「この情報の確認先となる公式サイトを教えて」
と尋ねる方法もあります。
ただし、AIが示したURLやサイト名自体が正しいとは限らないため、検索結果などから公式サイトであることを確認することも大切です。
AIへの質問は「必要最小限の情報」が基本
AIを安全に使うために覚えておきたい考え方は、それほど難しいものではありません。
「その情報は、本当に質問するために必要なのか?」
と考えてから入力することです。
たとえば、文章を添削してもらうだけなら、本名や住所は必要ありません。
人間関係について相談するだけなら、相手の本名や勤務先を詳しく書かなくても相談できます。
会社の資料をまとめてもらう場合も、顧客名や機密情報を取り除いて利用できる場合があります。
AIに詳しい情報を与えるほど回答の精度が高くなることはありますが、「詳しく説明すること」と「個人情報や機密情報まで入力すること」は同じではありません。
必要な背景は伝えながら、特定につながる情報は省く。
この習慣をつけておくと、生成AIをより安全に利用しやすくなります。

AIに聞いてもいいこと・向いていること

ここまでAIに入力するときの注意点を紹介してきましたが、AIへの質問そのものを怖がる必要はありません。
個人情報や機密情報などの扱いに気をつけ、回答をそのまま信じ込まなければ、生成AIはさまざまな用途に活用できます。
特に、アイデアを出したり、複雑な情報を整理したり、わからない言葉を説明してもらったりする使い方は便利です。
ここでは、AIに向いている代表的な使い方を紹介します。
アイデア出し
生成AIが得意な使い方の一つがアイデア出しです。
たとえば、
「休日に家でできる趣味を10個考えて」
「誕生日プレゼントのアイデアを出して」
「旅行で雨が降った場合の過ごし方を考えて」
といった質問ができます。
最初から一つの正解を求めるのではなく、複数の候補を出してもらい、その中から自分に合ったものを選ぶ使い方です。
自分では思いつかなかった選択肢が見つかることもあります。
文章の構成や要約
文章を考えたり、情報を整理したりする用途にもAIは便利です。
たとえば、
「この文章をわかりやすく整理して」
「長い文章のポイントをまとめて」
「このテーマについて文章の構成を考えて」
などと質問できます。
ただし、会社の資料や他人から届いたメールなどをそのまま入力する場合は、個人情報や機密情報が含まれていないか確認しましょう。
必要のない名前や住所、会社名などを削除してから利用すると安心です。
言葉や仕組みの説明
知らない言葉について調べるときにもAIを利用できます。
たとえば、
「クラウドとは簡単にいうと何?」
「インフレを小学生にもわかるように説明して」
「Wi-Fiとモバイル通信の違いは?」
などと質問できます。
検索エンジンでは複数のWebページを読まなければわからない内容でも、AIなら自分の知識レベルに合わせて説明してもらえることがあります。
わかりにくい場合は、
「もっと簡単に説明して」
「具体例を入れて」
「専門用語を使わずに説明して」
などと追加で質問できるのも生成AIの便利なところです。
学習のサポート
AIは勉強をサポートする用途にも使えます。
たとえば、
「英単語の覚え方を教えて」
「この計算方法を順番に説明して」
「このテーマについて練習問題を作って」
などの使い方があります。
わからない部分について何度でも質問できるため、自分のペースで学習できます。
ただし、AIが作った答えが必ず正しいとは限りません。
学校の課題や資格試験などで利用する場合は、教科書や公式教材などでも確認しましょう。
また、学校や試験によってAI利用についてのルールが決められている場合は、そのルールに従う必要があります。
一般的な比較や情報整理
複数のものを比較したいときにもAIは役立ちます。
たとえば、
「ノートパソコンとタブレットのメリット・デメリットを比較して」
「一人暮らしと実家暮らしで必要なお金の違いを整理して」
などです。
比較したいポイントを指定すると、表や箇条書きなどに整理してもらうこともできます。
ただし、商品の価格やサービス料金などは変わる可能性があります。
最新情報が必要な場合は、メーカーやサービス提供会社の公式サイトなどでも確認しましょう。
AIへの質問で迷ったときのチェックポイント

「これはAIに聞いても大丈夫かな?」
と迷ったときは、質問する前に内容を一度確認してみましょう。
特に次のような情報が含まれていないかチェックします。
- 本名や住所などの個人情報が含まれていないか
- パスワードや暗証番号が含まれていないか
- クレジットカードなどの決済情報が含まれていないか
- 他人の個人情報が含まれていないか
- 会社や取引先の機密情報が含まれていないか
- AIだけで医療・法律・投資などの重要な判断をしようとしていないか
- AIの回答を確認せず、そのまま利用しようとしていないか
一つでも気になるものがあれば、その情報を削除したり、別の表現に置き換えたりできないか考えてみましょう。
たとえば、
「○○市○○町に住んでいる○○○○です」
という情報が質問に必要なければ、
「40代の会社員です」
など、相談に必要な範囲まで情報を減らせる場合があります。
AIへの質問は、詳しく書けば書くほどよいわけではありません。
「回答に必要な情報は伝える。しかし、必要のない個人情報までは伝えない」
という使い分けがポイントです。
AIに聞く前に「ネットに書ける内容か」を考える方法もある
AIに入力してよい情報か判断できないときは、
「この内容を知らない人に見られても困らないか?」
と考えてみる方法もあります。
もちろん、AIとの会話がそのままインターネット上に一般公開されるという意味ではありません。
あくまで、自分が入力しようとしている情報の重要度を判断するための考え方です。
たとえば、
「今日の夕食の献立を考えて」
という質問なら、通常は大きな問題にはなりにくいでしょう。
一方、
「私のクレジットカード番号は○○○○です。このカードについて調べて」
という質問なら、その番号を入力する必要があるのか考えるべきです。
同じように、
「会社の売上を分析して」
と依頼するときも、未公開の売上データを外部の生成AIサービスへ入力してよいかは、会社のルールを確認する必要があります。
迷った場合は「入力しなくても質問できないか?」を先に考えてみましょう。
AIは「相談相手」ではなく「道具」と考えるとわかりやすい
ChatGPTなどの生成AIは、人間と会話しているような自然な受け答えをします。
そのため、長く利用していると、人間の相談相手と話しているような感覚になることもあるでしょう。
しかし、AIは人間の友人、医師、弁護士、金融の専門家などと同じ存在ではありません。
AIには、
- 情報を整理してもらう
- 選択肢を出してもらう
- わからないことを説明してもらう
- アイデアを考えてもらう
- 考えるための材料を出してもらう
といった役割を任せると便利です。
一方で、
「人生に関わる重要なことをすべて決めてもらう」
「AIが言ったことだから間違いないと考える」
といった使い方には注意が必要です。
最終的に判断するのは自分自身であり、必要に応じて専門家や公式情報を頼る。
この距離感を意識することが、AIを上手に利用するポイントといえるでしょう。
「AIに聞いてはいけないこと」を怖がりすぎる必要はない
AIを使うと個人情報が漏れるのではないか、間違った情報にだまされるのではないかと心配になる人もいるでしょう。
確かに注意すべき点はあります。
しかし、危険性だけを見て「AIには何も質問しないほうがいい」と考える必要もありません。
重要なのは、
「入力する情報」と「返ってきた回答」の両方に注意することです。
入力するときは、個人情報や機密情報などが含まれていないか確認する。
回答を受け取ったら、それが正しいとは限らないことを理解し、重要な情報は公式サイトなどでも確認する。
この2つを意識するだけでも、AIとの付き合い方は大きく変わります。
AIを「何でも知っている存在」と考えるのではなく、「考えたり調べたりする作業を手伝ってくれる便利な道具」として利用するとよいでしょう。
AIに聞いてはいけないことに関するよくある質問
最後に、AIやChatGPTへ質問するときによくある疑問をまとめます。
AIに本名を教えても大丈夫?
本名を入力しただけで、すぐに何か問題が起こるというわけではありません。
ただし、質問するために本名が必要でなければ、入力しないほうがよいでしょう。
たとえば文章を添削してもらう場合、署名に書かれている本名を削除しても文章の内容にはほとんど影響しません。
人物関係を説明したい場合も、「山田太郎」ではなく「Aさん」「上司」「友人」などに置き換えられます。
AIに入力する情報は、質問に必要な範囲にとどめるのが基本です。
ChatGPTに住所を書いても大丈夫?
質問に必要のない詳しい住所は、入力しないほうが安心です。
たとえば、
「名古屋周辺で観光スポットを探したい」
という質問であれば、自宅の番地まで入力する必要はありません。
「愛知県」「名古屋市」「名古屋駅周辺」など、目的に必要な範囲まで情報を大まかにして質問できます。
特に、氏名・住所・電話番号などを組み合わせて入力すると個人を特定しやすくなるため、必要のない情報は省きましょう。
ChatGPTに個人情報を書いてしまったらどうすればいい?
まず、該当するチャットを削除できるか確認しましょう。
ただし、入力した内容によってはチャットを削除するだけでなく、別の対応が必要になる場合があります。
たとえば、本物のパスワードやAPIキーを入力してしまった場合は、そのパスワードやキーを変更・無効化することを検討します。
クレジットカードなど重要な決済情報を入力してしまった場合は、必要に応じてカード会社などに相談しましょう。
「入力してしまった情報が悪用された場合、何を変更・停止すれば被害を防げるか」
という視点で考えることが大切です。
AIに会社の資料を貼り付けてもいい?
会社のルールや資料の内容によります。
公開されている資料と、顧客情報や未公開情報を含む社内資料では扱いが異なります。
特に、
- 顧客情報
- 社外秘情報
- 未発表の商品情報
- 契約内容
- 社内の財務情報
- 個人情報
などが含まれている場合は注意が必要です。
「AIに入力すると便利だから」という理由だけで判断せず、勤務先で生成AIの利用ルールが定められている場合は、そのルールに従いましょう。
AIに病気について質問してもいい?
病気や健康について一般的な情報を質問すること自体を、すべて避ける必要はありません。
たとえば、
「花粉症とはどのようなもの?」
「健康診断ではどんな検査をする?」
など、一般的な知識を調べるために利用できます。
ただし、自分の症状についてAIだけで病気を断定したり、薬の服用や治療を自己判断したりすることには注意が必要です。
体調に不安がある場合や緊急性が疑われる場合は、AIだけに頼らず、医療機関など適切な相談先を利用しましょう。
AIに投資について聞いてもいい?
投資の仕組みや用語を調べたり、情報を整理したりする目的でAIを利用することはできます。
たとえば、
「株式と投資信託の違いは?」
「企業を調べるときに確認する項目は?」
といった質問です。
一方、
「絶対に値上がりする株を教えて」
「この銘柄に全財産を投資しても大丈夫?」
など、重要な投資判断をAIだけに任せるのは避けましょう。
AIの回答が最新の市場状況を反映しているとは限らず、将来の値動きを保証することもできません。
AIの回答を仕事でそのまま使ってもいい?
AIが作った文章や情報は、そのまま使うのではなく、人が確認してから利用するのがおすすめです。
AIは事実関係、数字、人名、日付などを間違えることがあります。
また、文章としては自然でも、会社の方針や業界のルールに合っていない場合もあります。
特に社外へ公開する文章や重要な資料では、
「AIに作ってもらう → 人が確認する → 必要に応じて修正する」
という流れにするとよいでしょう。
AIに質問した内容は他人に見られる?
AIに入力した質問が、そのままインターネット上に一般公開され、知らない人が自由に検索して読めるという意味ではありません。
ただし、データの保存や利用方法はAIサービスや契約しているプラン、設定などによって異なります。
そのため、
「他人に公開されない=どんな秘密でも入力してよい」
とは考えないほうがよいでしょう。
利用するサービスのプライバシーポリシーやデータに関する設定を確認し、第三者に知られると困る重要な情報は必要以上に入力しないことが基本です。
ChatGPTの一時チャットなら何を入力しても大丈夫?
一時チャットだからといって、重要な個人情報やパスワードなどを何でも入力してよいわけではありません。
ChatGPTの一時チャットは通常のチャット履歴に表示されず、パーソナライズ用のメモリを作成せず、モデルの改善にも使用されません。
一方、安全上の目的でコピーが最大30日間保持される場合があります。
一時チャットはプライバシーに配慮した便利な機能ですが、
「一時チャット=何を入力しても絶対に残らない」
と考えないようにしましょう。
AIに聞いてはいけない言葉やNGワードはある?
「この単語を入力しただけで危険」という単純なNGワード一覧があると考えるより、質問の内容や目的を意識したほうがよいでしょう。
たとえば犯罪に関連する言葉でも、
「犯罪を実行する具体的な方法を教えて」
という質問と、
「犯罪から身を守る方法を教えて」
という質問では目的が異なります。
生成AIサービスによっては、安全上の理由から回答できない内容があります。
「特定の言葉を使ってはいけない」というより、「何のために、どのような情報を求めているのか」が重要です。
まとめ
AIに聞いてはいけないことについて紹介してきました。
ChatGPTなどの生成AIは便利ですが、何でもそのまま入力し、返ってきた回答をすべて正しいと考えるのはおすすめできません。
特に注意したいのは、
- 氏名・住所・電話番号などの個人情報
- ID・パスワード・暗証番号
- クレジットカードなどの決済情報
- 他人の個人情報
- 会社や取引先の機密情報
- 医療・法律・投資などに関する重要な判断
などです。
AIを安全に利用するポイントは、「聞いてはいけない質問を丸暗記すること」ではありません。
「この情報は本当にAIに伝える必要があるのか?」
と考えてから入力することが大切です。
本名をAさんに置き換える、詳しい住所を地域名までにする、会社名や顧客名を伏せるなど、少し工夫するだけでも入力する情報を減らせます。
また、AIから返ってきた回答が必ず正しいとは限りません。
重要な情報は公式サイトや公的機関などの一次情報でも確認し、必要に応じて専門家に相談しましょう。
AIを必要以上に怖がる必要はありません。
「個人情報や機密情報は安易に入力しない」
「AIの回答をそのまま信じない」
この2つを基本にして、調べものやアイデア出し、文章作成、情報整理などに上手に活用していきましょう。