
「うるう年」は聞いたことがあっても、「うるう時間」や「うるう秒」と聞くと、どんな仕組みなのかわからない人も多いのではないでしょうか。
「時間が1時間増えるの?」「うるう年と関係がある?」「うるう秒が廃止されるって本当?」など、少しわかりにくい言葉でもあります。
実は、一般的な時間の仕組みとして「うるう時間」というものが定期的に設けられているわけではありません。
時間に関係する「うるう」の仕組みとして重要なのが、暦を調整する「うるう年」と、時刻を調整してきた「うるう秒」です。
特にうるう秒については、コンピューターやインターネットが広く使われるようになったことで問題点も指摘され、国際的に現在の仕組みを見直すことが決まっています。
この記事では、うるう時間とは何を意味するのか、うるう年やうるう秒との違い、うるう秒が必要になった理由や廃止に向かう理由などを初心者にもわかりやすく解説します。
うるう時間とは?
「うるう時間」という言葉から、「ある年だけ1時間増えるのでは?」と思うかもしれません。
しかし、うるう年のように「うるう時間」という名前の制度があり、決まったタイミングで1時間を追加しているわけではありません。
時間の調整に関係する仕組みとして実際に使われてきたのが「うるう秒」です。
まずは「うるう」という言葉の意味から見ていきましょう。
「うるう時間」という正式な制度はある?
一般的な時刻制度として、定期的に1時間を追加する「うるう時間」という仕組みはありません。
混同しやすいものには、次のようなものがあります。
| 言葉 | 調整するもの | 主な目的 |
|---|---|---|
| うるう年 | 日付 | 暦と季節のずれを調整する |
| うるう秒 | 時刻 | 原子時計による時刻と地球の自転による時刻のずれを調整する |
| サマータイム | 時計の表示 | 明るい時間帯を有効活用する |
このうち、時刻そのもののずれを調整するために使われてきたのが「うるう秒」です。
そのため、「うるう時間」について調べている場合、実際には「うるう秒」の仕組みを知りたいケースも多いと考えられます。
「うるう」の意味とは?
「うるう(閏)」とは、暦や時刻に生じるずれを調整するために、日や秒などを加えて調整する考え方です。
私たちが使っているカレンダーや時計は非常に正確に見えますが、地球の動きが時計やカレンダーにぴったり一致しているわけではありません。
たとえば、地球が太陽の周りを1周する時間は、ちょうど365日ではありません。
そのまま毎年365日としてしまうと、長い年月の間にカレンダーと季節が少しずつずれてしまいます。
そこで一定のルールに従って1日を追加するのが「うるう年」です。
同じように、地球の自転をもとにした時刻と非常に正確な原子時計による時刻とのずれを調整するために使われてきたのが「うるう秒」です。
なぜ時間や暦にずれが生じるの?
大きな理由は、地球の動きが時計のように常に一定ではないためです。
地球の公転周期は365日ぴったりではなく、自転の速さにもわずかな変化があります。
一方、現代の時刻は非常に精度の高い原子時計をもとに決められています。
つまり、
「自然の動きをもとにした時間」と「高精度な時計で刻む時間」
の間には、少しずつずれが生じることがあります。
そのずれを調整するために考えられたのが、うるう年やうるう秒です。

うるう年・うるう秒・うるう時間の違い
「うるう」という言葉が共通しているため混同しやすいのですが、うるう年とうるう秒では調整する対象が違います。
大まかにいうと、
- うるう年 → カレンダーを調整する
- うるう秒 → 時計の時刻を調整する
- うるう時間 → 一般的な正式制度として1時間を追加するものではない
という違いがあります。
うるう年とは
うるう年とは、通常より1日多い年のことです。
通常の年は365日ですが、うるう年は2月29日が加わり366日になります。
これは地球が太陽の周りを1周する時間と、カレンダー上の1年とのずれを調整するためです。
現在広く使われているグレゴリオ暦では、基本的に4年に1度うるう年になりますが、100で割り切れる年や400で割り切れる年については例外があります。
たとえば2000年はうるう年でしたが、2100年はうるう年ではありません。
うるう秒とは
うるう秒は、時計の時刻に1秒を加えるなどして、地球の自転による時刻とのずれを調整する仕組みです。
現代の時刻は原子時計を利用して非常に正確に刻むことができます。
ところが、地球の自転速度は完全に一定ではありません。
そのため、原子時計による時刻と地球の自転を基準にした時刻の間にずれが生じます。
このずれが大きくならないよう調整するために導入されたのが、うるう秒です。
通常なら、
23時59分59秒
↓
0時00分00秒
と進むところに、うるう秒が挿入される場合には、
23時59分59秒
↓
23時59分60秒
↓
0時00分00秒
という特別な1秒が加わります。
わずか1秒ですが、この特殊な時刻がコンピューターシステムにとって厄介な問題になることがあります。
うるう時間は1時間増える仕組みではない
「うるう時間」という言葉を見ると、うるう年が1日増えるように「1時間増える日がある」と考えてしまいそうです。
しかし、日本を含む通常の時刻制度で、うるう時間として1時間を追加する仕組みはありません。
一方、海外ではサマータイム(夏時間)の開始・終了によって時計を1時間進めたり戻したりする地域があります。
特にサマータイム終了時には時計を1時間戻すため、同じ時刻帯がもう一度現れることがあります。
これが「1時間増えた」ように見えることがありますが、うるう秒とはまったく別の仕組みです。

うるう秒とは?なぜ1秒追加するの?
うるう秒とは、原子時計をもとにした時刻と、地球の自転をもとにした時刻とのずれが大きくならないように調整する仕組みです。
「たった1秒くらい、ずれても問題ないのでは?」と思うかもしれません。
しかし、私たちが使っている時刻には「非常に正確な時計で時間を刻む」という役割だけでなく、「太陽や地球の動きと時刻を大きくずらさない」という役割もあります。
そこで必要に応じて1秒を調整する、うるう秒が使われてきました。
地球の自転と時計にはずれが生じる
昔から「1日」は、地球の自転と深く結びついています。
ところが、地球の自転速度はいつもまったく同じではありません。
大気や海洋の動き、地球内部の変化、月との関係など、さまざまな要因によってわずかに変化します。
一方、現在の時刻を支えている原子時計は非常に高い精度で時間を刻み続けます。
つまり、
地球の自転 → わずかに変化する
原子時計 → 非常に安定して時間を刻む
という違いがあります。
このまま長期間調整しなければ、地球の回転を基準にした時刻と原子時計による時刻との間に少しずつずれが生じます。
そのずれを小さく保つために使われてきたのが、うるう秒です。
UTCと原子時計の関係
うるう秒を理解するときに出てくるのが「UTC」です。
UTCは「協定世界時」と呼ばれ、世界の標準となっている時刻です。
日本標準時(JST)もUTCを基準としていて、
日本標準時 = UTC+9時間
という関係になっています。
たとえばUTCが午前0時なら、日本は午前9時です。
UTCの時間の長さは原子時計をもとに非常に高い精度で決められています。
一方、地球の自転に基づく時刻として「UT1」があります。
UTCとUT1が大きく離れないようにするため、これまで必要に応じてうるう秒による調整が行われてきました。

「23時59分60秒」が存在することがある
通常、時計は、
23時59分58秒
↓
23時59分59秒
↓
0時00分00秒
と進みます。
ところが、1秒を追加する「正のうるう秒」が実施される場合は、
23時59分58秒
↓
23時59分59秒
↓
23時59分60秒
↓
0時00分00秒
となります。
普段の時計では見ることのない「23時59分60秒」が登場するわけです。
日本では、過去のうるう秒の実施時には時差の関係から朝の時刻に1秒が挿入されました。
たった1秒の調整ですが、通常は存在しない時刻を扱うことになるため、コンピューターやネットワークにとっては簡単な問題とは限りません。

うるう秒はいつから始まった?
現在につながるうるう秒の仕組みは1972年に始まりました。
それ以降、地球の自転とUTCとのずれを調整する必要があると判断されたときに実施されています。
うるう年のように「4年に1回」と決まっているわけではありません。
地球の自転の状態を観測し、その結果をもとに実施するかどうかが判断されます。
そのため、数年続けて実施されることもあれば、長い間実施されないこともあります。
うるう秒はいつ実施された?
うるう秒は1972年から実施されてきました。
これまでに複数回行われていますが、実施間隔は一定ではありません。
「次のうるう秒は○年後」とあらかじめ周期で決められるものではないのが、うるう年との大きな違いです。
うるう秒は毎年行われるわけではない
うるう秒を実施するかどうかは、地球の自転の観測結果などをもとに判断されます。
そのため、
「4年に1度のうるう年に、うるう秒も入る」
という仕組みではありません。
うるう年とうるう秒は、名前は似ていますが別々のルールで決まります。
これまでのうるう秒は、主に6月末または12月末に実施されてきました。
最後のうるう秒はいつだった?
2026年8月現在、最後に実施されたうるう秒は2016年12月31日(UTC)です。
このとき正のうるう秒が1秒追加されました。
日本時間では2017年1月1日の午前8時59分59秒と午前9時00分00秒の間に、
「午前8時59分60秒」
が挿入されました。
その後は長期間にわたり、うるう秒が実施されていません。
うるう秒は定期的なイベントではないため、「長く実施されていないから制度がすでに廃止された」という意味ではありません。
マイナスのうるう秒とは?
うるう秒には、1秒を追加する「正のうるう秒」だけでなく、理論上は1秒を取り除く「負のうるう秒(マイナスのうるう秒)」もあります。
たとえば通常なら、
23時59分58秒
↓
23時59分59秒
↓
0時00分00秒
と進むところを、1秒削除する場合には「23時59分59秒」を飛ばすような調整になります。
ただし、これまで実施されてきたうるう秒はすべて1秒を追加する正のうるう秒で、負のうるう秒が実施されたことはありません。
地球の自転速度の変化によっては負のうるう秒が必要になる可能性も考えられてきましたが、うるう秒そのものの仕組みを変更する国際的な動きが進んでいます。
この背景には、わずか1秒の調整が現代のコンピューター社会では大きな負担になっているという事情があります。
次は、なぜ「たった1秒」が問題になるのかを見ていきましょう。
うるう秒はなぜ廃止されるの?
うるう秒は、地球の自転とUTCのずれを小さく保つために使われてきました。
しかし現在では、わずか1秒を追加することが、コンピューターや通信システムにとって大きな負担になる場合があります。
BIPM(国際度量衡局)に関係する2022年の国際決議では、うるう秒による時刻の不連続が、衛星測位システム、通信、エネルギー供給などの重要なデジタルインフラで重大な障害を引き起こすリスクがあることが指摘されています。
そこで現在は、「1秒ずつ頻繁に調整する仕組み」を将来的に見直し、より連続した時刻を使えるようにする方向へ進んでいます。
コンピューターやネットワークへの影響
人間にとって1秒はごく短い時間ですが、コンピューターにとってはそうとは限りません。
コンピューターやサーバーは、
- データを保存した時刻
- メールを送受信した時刻
- 金融取引が行われた順序
- 通信した順序
- システムのログ
- 複数のサーバー間の同期
などを非常に細かい時刻情報で管理しています。
通常、23時59分59秒の次は0時00分00秒です。
ところが、正のうるう秒が入ると、その途中に「23時59分60秒」という通常とは異なる時刻が現れます。
システム側がこの特殊な1秒を正しく処理できなければ、
「同じ時刻が2回あるように見える」
「時間が戻ったように処理される」
「処理の順番を正しく判断できない」
といった問題が起こる可能性があります。

システム障害の原因になる可能性がある
現代社会では、世界中のさまざまな機器がネットワークにつながっています。
しかも、すべてのシステムがまったく同じ方法でうるう秒を処理しているわけではありません。
あるシステムは瞬間的に1秒を追加し、別のシステムは少しずつ時間を調整する、といった違いがあります。
BIPMの2022年決議でも、デジタルネットワークや衛星測位システムの運用者が異なる方法でうるう秒を処理しており、統一されていないことが時刻同期の信頼性を損なう可能性があるとされています。
世界中のシステムが複雑につながっている現在では、「たった1秒だから問題ない」とは言えなくなっているのです。
世界中の時刻を同期するのが難しい
インターネットでは、多数のコンピューターが時刻を同期しながら動いています。
ところが、うるう秒への対応方法が異なると、システムによって一時的に時刻の進み方が異なる場合があります。
そこで使われてきた方法のひとつが「leap smear(リープ・スメア)」です。
これは、うるう秒の1秒をある瞬間にまとめて挿入するのではなく、一定の時間にわたって少しずつ時計の進み方を変え、1秒分の調整を分散させる方法です。
これなら「23時59分60秒」という特殊な時刻を直接扱わずに済みます。
ただし、リープ・スメアにも問題があります。
各システムが異なる方法や時間幅で調整すると、その間は時計同士が完全には一致しなくなるためです。
非常に高精度な時刻同期が必要なデータセンターなどでは、こうした違いも問題になります。ITUも、分散ストレージなど高精度な時刻同期を必要とする用途では、うるう秒への対応が難しくなっていることを紹介しています。
「1秒を合わせるメリット」より負担が大きくなった
うるう秒が導入された1970年代と現在では、時刻を利用する環境が大きく変化しています。
当時よりも、
インターネット
スマートフォン
クラウドサービス
衛星測位
金融取引
通信網
電力システム
など、高精度な時刻に依存する仕組みが圧倒的に増えました。
地球の自転とのずれを0.9秒以内に保つために1秒単位で調整するメリットより、世界中のデジタルシステムに特殊な処理を求める負担やリスクのほうが大きくなってきたと考えられているのです。
うるう秒はいつ廃止される?
「うるう秒は2035年に廃止される」と紹介されることがあります。
大まかな方向性としては間違いではありませんが、正確には少し注意が必要です。
2022年のCGPM(国際度量衡総会)では、UTCと地球の自転による時刻UT1との差について、現在の最大許容値を2035年までに拡大することが決まりました。
現在はUT1とUTCとの差が0.9秒に近づくと、うるう秒による調整が行われます。
この「0.9秒」という厳しい制限を緩めることで、頻繁に1秒を追加する必要をなくそうという考え方です。
2035年までに現在の仕組みを変更する方針
2022年の決議では、UT1とUTCの差の最大値を「2035年またはそれ以前」に拡大するとされています。
さらに、新しい上限値については、少なくとも100年間はUTCを連続して運用できるものにすることが求められています。
つまり、
現在
→ ずれが0.9秒に近づくたび、必要ならうるう秒で調整
将来
→ もっと大きなずれを許容し、1秒単位の頻繁な調整を避ける
という方向へ変わる予定です。

2035年から完全になくなるとは限らない
「2035年1月1日から、うるう秒という制度が完全になくなる」
と決まっているわけではありません。
正式に決まっているのは、2035年までにUT1とUTCの最大許容差を現在より大きくするということです。
ITUも、新しい仕組みでは現在より大きなずれを許容し、UTCを少なくとも長期間連続して利用できるようにする方向を説明しています。
その結果、従来のように数年おきに1秒を加える「うるう秒」は、実質的に使われなくなると考えられています。
そのため一般には「うるう秒廃止」と表現されることが多いわけです。
UTCと地球の自転のずれはどうする?
では、うるう秒を使わなくなったら、UTCと地球の自転による時刻はどんどん離れてしまうのでしょうか。
短期間で大きくずれるわけではありません。
地球の自転との差は少しずつ蓄積していくため、新しい仕組みでは、そのずれをある程度まで許容する考え方になっています。
2022年の国際決議では、新しい許容値によってUTCを少なくとも100年間連続して利用できるようにすることが求められています。
つまり今後は、
「1秒ずれそうになるたびに直す」
のではなく、
「ある程度のずれを許容して、頻繁な調整をしない」
という考え方へ移っていくわけです。
将来、ずれが十分大きくなった段階でどのように調整するかについては、長期的な検討課題となります。
「まとめて大きく調整する」「別の方法を使う」といった可能性はありますが、将来の具体的な方法まで確定しているわけではありません。
次は、うるう秒の仕組みが変わった場合、私たちの日常生活や時計にどんな影響があるのかを見ていきましょう。
うるう秒が廃止されたらどうなる?
うるう秒による頻繁な調整が行われなくなると、UTCと地球の自転をもとにした時刻(UT1)のずれは、これまでより大きくなることが認められるようになります。
とはいえ、ある日突然、時計が何分もずれたり、昼と夜が逆になったりするわけではありません。
ずれは非常にゆっくり蓄積していくため、少なくとも私たちの日常生活ですぐに困るような変化が起こるとは考えにくいでしょう。
むしろ大きなメリットとして期待されているのが、コンピューターや通信システムで時刻を連続して扱いやすくなることです。
時計と地球の自転は少しずつずれていく
うるう秒は、UTCと地球の自転による時刻の差を小さく保つ役割を果たしてきました。
現在の仕組みでは、UT1とUTCとの差の絶対値が0.9秒を超えないように調整されています。
この制限が将来緩和され、従来のようなうるう秒による調整が行われなくなると、UTCと地球の自転による時刻の差は少しずつ大きくなっていきます。
ただし、地球の自転速度は一定ではないため、「何年後に何秒ずれる」と正確に決められるわけではありません。
重要なのは、
これまで → 1秒未満の小さなずれを保つ
これから → ある程度のずれを許容して時刻を連続させる
という考え方に変わっていくことです。
日常生活で違いを感じる?
一般的な生活では、すぐに違いを感じる可能性は低いでしょう。
たとえば、
「正午なのに太陽が大きく違う位置にある」
「日の出や日の入りの時刻と時計が明らかに合わない」
といった状態が、うるう秒をやめた直後に起こるわけではありません。
UTCと地球の自転とのずれは少しずつ蓄積していくためです。
一方、コンピューター側から見ると状況は違います。
不定期に「23時59分60秒」のような特殊な時刻を処理する必要がなくなれば、時刻を連続したものとして扱いやすくなります。
人間にとってはほとんど気づかない変化でも、ITシステムにとっては大きな意味を持つわけです。
将来はまとめて時間を調整する可能性も
「では、UTCと地球の自転とのずれが何十秒、何分と大きくなったらどうするの?」
という疑問も出てきます。
将来的には、何らかの方法で大きくなったずれを調整する必要が出てくる可能性があります。
ただし、その具体的な方法がすでに決まっているわけではありません。
重要なのは、「1秒ずれるたびに頻繁に調整する方法」から「もっと長期間、UTCを連続して利用できる方法」へ移行しようとしている点です。
将来の調整方法については、地球の自転の変化や技術の発展などを踏まえながら、国際的に検討されていくことになります。

なぜ「うるう時間」という言葉が使われる?
ここまで読んで、
「結局、うるう時間とは何だったの?」
と思った人もいるかもしれません。
「うるう時間」は、うるう年やうるう秒などと混同して使われることがあります。
また、海外のサマータイムでは時計を1時間動かすため、「1時間増えたり減ったりする仕組み=うるう時間」とイメージされることもあるようです。
しかし、それぞれ目的も仕組みも異なります。
うるう秒やうるう年との混同
「うるう年」では1日が追加され、「うるう秒」では必要に応じて1秒が調整されます。
そのため、
「うるう年 → 1日追加」
「うるう秒 → 1秒追加」
なら、
「うるう時間 → 1時間追加?」
と考えるのも不思議ではありません。
しかし、一般的な時刻制度として、うるう時間という名前で1時間を追加する仕組みがあるわけではありません。
サマータイムとの混同
1時間単位で時計を動かす仕組みとして知られているのが、サマータイム(夏時間)です。
サマータイムを採用している地域では、季節によって標準時から時計を1時間進めることがあります。
そして標準時に戻すときには、時計を1時間戻します。
このため、同じ時刻がもう一度現れ、「1時間増えた」ように感じることがあります。
ただし、サマータイムは地球の自転と原子時計のずれを修正するための制度ではありません。
明るい時間帯を生活や活動に活用するために、社会的に時計の表示を変更する仕組みです。
うるう秒とサマータイムの違い
うるう秒とサマータイムを整理すると、次のようになります。
| 比較 | うるう秒 | サマータイム |
|---|---|---|
| 調整する時間 | 1秒 | 一般的に1時間 |
| 主な目的 | UTCと地球の自転による時刻の差を調整 | 明るい時間帯を有効活用する |
| 実施時期 | 必要に応じて決定 | 国・地域のルールによる |
| 日本 | 過去のうるう秒を適用 | 現在は採用していない |
| 時計への影響 | 特殊な1秒が加わることがある | 時計を進めたり戻したりする |
つまり、
うるう秒 → 地球と時計のずれを調整する
サマータイム → 人間の生活に合わせて時計を動かす
という大きな違いがあります。

「1時間増える・減る」という現象だけを見ると「うるう時間」のように思えますが、実際にはサマータイムによる時計の変更と考えたほうがわかりやすいでしょう。
うるう年は廃止されないの?
うるう秒が廃止に向かっていると聞くと、
「うるう年もいずれ廃止されるの?」
と思うかもしれません。
しかし、うるう年とうるう秒は目的も仕組みも異なります。
うるう秒の仕組みが見直されるからといって、うるう年まで一緒になくなるわけではありません。
うるう秒とは目的が違う
うるう秒は、UTCと地球の自転による時刻とのずれを小さくするための仕組みです。
一方、うるう年は、カレンダー上の1年と地球が太陽の周りを回る周期とのずれを調整するためにあります。
簡単に分けると、
うるう年 → カレンダーと季節を合わせる
うるう秒 → 時計と地球の自転による時刻を合わせる
という違いです。
同じ「うるう」という名前が付いていますが、別々の問題を解決するための仕組みなのです。
うるう年が必要な理由
私たちが普段使っているカレンダーでは、通常の1年を365日としています。
しかし、地球が太陽の周りを1周する周期は、365日ちょうどではありません。
この差をそのままにすると、カレンダーと季節の関係が少しずつずれていきます。
そこで、基本的に4年に1度「2月29日」を加えて調整しています。
ただし、単純に4年に1回追加するだけではありません。
現在広く使われているグレゴリオ暦では、
- 西暦が4で割り切れる年は、原則としてうるう年
- 100で割り切れる年は、原則として平年
- ただし400で割り切れる年は、うるう年
というルールがあります。
たとえば、
2024年 → うるう年
2100年 → 平年
2400年 → うるう年
となります。
こうした細かなルールによって、暦と季節のずれを小さくしています。
うるう年をなくすと季節と暦がずれていく
仮にうるう年をなくして毎年365日だけにすると、実際の地球の公転周期との差が毎年少しずつ蓄積していきます。
最初の数年では大きな違いを感じなくても、長い年月がたつほど暦と季節の関係がずれていきます。
そのため、うるう年には現在も重要な役割があります。
うるう秒の仕組みが見直されるからといって、
「うるうという仕組みそのものが不要になる」
というわけではありません。

うるう時間・うるう秒で勘違いしやすいポイント
最後に、「うるう時間」や「うるう秒」について勘違いしやすいポイントを整理しておきましょう。
うるう秒は毎年追加されるわけではない
うるう秒は、うるう年のように決まった周期で実施されるものではありません。
地球の自転を観測し、UTCとのずれに応じて実施するかどうかが決められてきました。
「何年に1回」と決まっているわけではないのがポイントです。
うるう年とうるう秒は連動していない
うるう年だからといって、その年にうるう秒が実施されるわけではありません。
うるう年は地球の公転と暦のずれ、うるう秒は地球の自転と時刻のずれを調整する仕組みです。
それぞれ別のルールで決まります。
「うるう時間」として1時間追加されるわけではない
一般的な時刻制度として「うるう時間」という名前で1時間を追加する仕組みはありません。
1時間単位で時計を動かす制度としてはサマータイムがありますが、うるう秒とは目的も仕組みも異なります。
2035年に必ず最後のうるう秒があるわけではない
「2035年にうるう秒が廃止される」と聞くと、
「2035年に最後のうるう秒が追加される」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、その意味ではありません。
国際的には2035年までにUTCとUT1の最大許容差を現在より大きくし、従来のような頻繁なうるう秒による調整を避ける方向で進んでいます。
したがって、2035年に必ず最後のうるう秒が実施されると決まっているわけではありません。
マイナスのうるう秒も仕組みとしては存在する
うるう秒というと「1秒増やすもの」というイメージがあります。
しかし、仕組み上は1秒を削除する「負のうるう秒」もあります。
これまで実施されたうるう秒はすべて正のうるう秒で、負のうるう秒が実施されたことはありません。

よくある質問(FAQ)
うるう時間は何時間ですか?
一般的な時刻制度として「うるう時間」という名前で1時間を追加する仕組みはありません。
時間のずれを調整する仕組みとして知られているのは「うるう秒」です。
1時間時計を進めたり戻したりする仕組みとしてはサマータイムがありますが、うるう秒とは別の制度です。
うるう秒は何年に一度ありますか?
決まっていません。
うるう年のように「4年に1度」といった周期はなく、地球の自転とUTCのずれを観測したうえで、必要に応じて実施されてきました。
最後のうるう秒はいつでしたか?
2026年8月現在、最後のうるう秒は2016年12月31日(UTC)に実施されました。
日本時間では2017年1月1日の午前8時59分59秒と午前9時00分00秒の間に、「午前8時59分60秒」が挿入されました。
うるう秒はなぜ廃止されるのですか?
大きな理由のひとつが、コンピューターやネットワークへの負担です。
「23時59分60秒」のような通常とは異なる時刻を処理する必要があり、システム障害や時刻同期の問題につながる可能性があります。
世界中のデジタルシステムが複雑につながるようになったことで、時刻を途切れず連続して扱う重要性が高まっています。
2035年からうるう秒はなくなるのですか?
「2035年1月1日に完全廃止される」という意味ではありません。
国際的には、2035年までにUTCと地球の自転による時刻UT1との差について、現在より大きなずれを許容する方向が決まっています。
これによって、従来のように1秒単位で頻繁に調整する必要をなくすことが目指されています。
うるう年も将来なくなるのですか?
うるう秒の見直しとは別の問題です。
うるう年は、地球の公転周期とカレンダーとのずれを調整するために必要な仕組みです。
うるう秒が廃止方向だからといって、うるう年も廃止されるわけではありません。
サマータイムとうるう時間は同じですか?
同じではありません。
サマータイムは、明るい時間帯を有効に活用するなどの目的で時計を通常1時間動かす社会的な制度です。
地球の自転と原子時計のずれを調整するうるう秒とは、目的も仕組みも異なります。
まとめ
「うるう時間」という言葉から、1時間が追加される特別な日を想像するかもしれません。
しかし、一般的な時刻制度として「うるう時間」という名前で1時間を追加する仕組みがあるわけではありません。
時間に関係する代表的な「うるう」の仕組みが、うるう秒です。
うるう秒は、原子時計をもとにしたUTCと地球の自転による時刻とのずれを小さく保つため、必要に応じて1秒を調整してきました。
ところが、現代ではコンピューター、インターネット、通信、衛星測位など、高精度な時刻に依存するシステムが増えています。
そのため、わずか1秒の特殊な調整がシステムに大きな負担を与えることが問題になり、従来のうるう秒による調整を見直す方向へ進んでいます。
一方、うるう年はカレンダーと季節のずれを調整するための仕組みで、うるう秒とは別物です。
「うるう年は1日」「うるう秒は1秒」「サマータイムは主に1時間」と覚えておくと、それぞれの違いがわかりやすいでしょう。
時計はいつも同じ速さで動いているように見えますが、その背景では地球の動きと正確な時刻をどう両立させるかという、意外に奥深い調整が行われているのです。
