
道路を走っていると、鉄道や別の道路の下をくぐるように通る場所があります。
このような場所を「アンダーパス」と呼ぶことがありますが、
「アンダーパスって簡単にいうと何?」
「日本語では何というの?」
「地下道や高架下とは違う?」
「どうして大雨で冠水しやすいの?」
と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
アンダーパスは、道路や鉄道などと立体的に交差するために、その下を通るようにつくられた道路などを指す言葉です。
特に道路面が周囲より低くなっているアンダーパスでは、雨水が集まりやすく、大雨の際には冠水する危険があります。
普段は何気なく通っている場所でも、意味や構造を知っておくと、地下道や高架下との違いも分かりやすくなります。
この記事では、アンダーパスとは何かを初心者にも分かりやすく解説し、日本語・英語での意味、地下道や高架下、トンネルとの違い、アンダーパスが冠水しやすい理由について紹介します。
アンダーパスとは?簡単にいうとどんな道路?

アンダーパスとは、鉄道や道路などと交差するときに、その下をくぐるようにつくられた道路や通路のことです。
簡単にいうと、道路や鉄道を平面上で交差させるのではなく、「下を通す」ことで立体的に交差させる仕組みです。
たとえば、道路と鉄道が交差する場所を考えてみましょう。
同じ高さで交差すると踏切が必要になりますが、道路を掘り下げて線路の下を通せば、車は踏切で待つことなく通行できます。
道路同士の場合も同様で、一方を上または下に通すことで、信号を使わずに交差できる場合があります。
アンダーパスは周囲より低くなっていることが多い
アンダーパスというと、道路がいったん下り、鉄道や道路の下を通ってから再び上る形をイメージすると分かりやすいでしょう。
道路の高さを下げているため、周囲より低い場所になることが多いのが特徴です。
そのため、雨が降ると周辺から雨水が流れ込みやすくなります。
通常は排水設備によって水を外へ排出していますが、短時間に大量の雨が降ると排水が追いつかず、道路が冠水することがあります。
この「周囲より低い」という特徴が、アンダーパスと大雨・冠水の問題を考えるうえで重要なポイントです。
アンダーパスは立体交差の一つ
道路や鉄道を異なる高さで交差させることを「立体交差」といいます。
そのうち、交差する道路や鉄道などの下側を通る部分がアンダーパスです。
反対に、上側を通るものは「オーバーパス」と呼ばれることがあります。
つまり、
「下を通る=アンダーパス」
「上を通る=オーバーパス」
と考えると、基本的な意味をつかみやすいでしょう。
ただし、アンダーパスは「地下道」や「トンネル」「高架下」とまったく同じ意味ではありません。
それぞれ何を基準にした言葉なのかが異なります。
次に、まず「アンダーパスを日本語では何というのか」から見ていきましょう。
アンダーパスは日本語で何という?
「アンダーパス」はカタカナで使われることが多い言葉ですが、日本語では何というのか気になる方もいるでしょう。
結論からいうと、アンダーパスをすべての場合に当てはめられる一つの日本語に置き換えるのは難しく、その場所や構造によって「地下道」「立体交差の下側の道路」などと表現されます。
「地下道」と呼ばれることもある
アンダーパスは道路や鉄道などの下を通るため、一般的な会話では「地下道」と表現しても意味が通じる場合があります。
ただし、アンダーパスと地下道は厳密には同じものを指す言葉ではありません。
地下道は、地下につくられた道路や歩行者用の通路などを広く表す言葉です。
一方、アンダーパスは「道路や鉄道などの下を通過する」という位置関係に注目した言葉です。
そのため、
- 鉄道の下を道路が通る
- 大きな道路の下を別の道路が通る
- 道路を掘り下げて交差部分の下を通す
といった場所がアンダーパスにあたります。
「立体交差」とは意味が少し違う
アンダーパスを「立体交差」と説明することもありますが、この2つもまったく同じ意味ではありません。
立体交差とは、道路や鉄道などを異なる高さで交差させる仕組み全体を表す言葉です。
そのため、下側を通るアンダーパスだけでなく、上側を通るオーバーパスも立体交差に含まれます。
関係を簡単に整理すると、
「立体交差=上下に分けて交差させる仕組み」
「アンダーパス=その下側を通るもの」
と考えると分かりやすいでしょう。
日本でも「アンダーパス」が一般的に使われている
アンダーパスは外来語ですが、日本でも道路や防災に関する情報などでそのまま「アンダーパス」という名称が使われています。
特に大雨のニュースや自治体の注意喚起では、「アンダーパスの冠水」「冠水したアンダーパス」といった表現を目にすることがあります。
そのため、無理に日本語へ置き換えるよりも、
「道路や鉄道などの下を通る道路」
と意味を理解しておくのが分かりやすいでしょう。
なお、「地下道」「高架下」「トンネル」など、アンダーパスと似た場所を表す言葉はいくつかあります。
これらの違いについては、このあと順番に見ていきます。
アンダーパスは英語でどういう意味?
アンダーパスは、英語の「underpass(アンダーパス)」からきている言葉です。
英語では、道路や鉄道などの下を通る道路や通路といった意味で使われます。
単語を分けて考えるとイメージしやすいでしょう。
- under=下に・下の
- pass=通る・通過する
つまり「下を通る」という意味から、道路や鉄道などの下を通過する場所をunderpassと呼びます。
underpassの反対はoverpass
underpassと一緒に覚えておきたいのが「overpass(オーバーパス)」です。
「over」には「上を越えて」といった意味があります。
そのため、位置関係を簡単にすると、
「underpass=下を通る」
「overpass=上を通る」
となります。
たとえば2本の道路を立体交差させる場合、一方の道路を掘り下げて下側に通せばアンダーパス、橋のように上側へ通せばオーバーパスと考えると分かりやすいでしょう。
英語のunderpassは車道だけとは限らない
日本で「アンダーパス」というと、鉄道や道路の下を車が通る道路をイメージすることが多いかもしれません。
しかし英語のunderpassは、必ずしも自動車が走る道路だけを指すわけではありません。
道路や鉄道などの下を通る歩行者用の通路を指して使われることもあります。
そのため、英語のunderpassと日本で道路について使われる「アンダーパス」では、使われる場面に多少違いがあることを覚えておくとよいでしょう。
バレーボールの「アンダーパス」とは意味が違う
「アンダーパス」と聞いて、バレーボールを思い浮かべる方もいるでしょう。
バレーボールでは、両腕を使って下からボールを受けるプレーを「アンダーパス」と呼ぶことがあります。
ただし、道路のunderpassとは意味が異なります。
道路のアンダーパスは「何かの下を通る場所」を表すunderpassです。
一方、バレーボールでは下から行うパスという意味合いで使われており、英語では「underhand pass」などと表現されます。
同じ「アンダーパス」というカタカナでも、道路とスポーツでは意味が違うため注意しましょう。
次は、混同しやすい「アンダーパス」と「地下道」の違いを詳しく見ていきます。
アンダーパスと地下道の違い

アンダーパスと地下道は、どちらも地面より低い場所を通ることがあるため、同じものだと思われやすい言葉です。
しかし、厳密には意味が異なります。
まずは違いを簡単に比較してみましょう。
| 比較項目 | アンダーパス | 地下道 |
|---|---|---|
| 基本的な意味 | 道路や鉄道などの下を通る道路・通路 | 地下につくられた道路・通路 |
| ポイント | 何かの「下を通る」 | 「地下にある」 |
| 車が通るもの | ある | ある |
| 歩行者が通るもの | ある | ある |
| 主な目的 | 道路や鉄道などを立体交差させる | 地下を利用して人や車を通す |
大きな違いは、「何かの下を通っているか」と「地下につくられているか」という点です。
アンダーパスは「何かの下を通る」ことがポイント
アンダーパスは、道路や鉄道などの下を通過する道路や通路を指します。
たとえば、鉄道の線路が地上にあり、その下を通るために道路が掘り下げられている場合です。
この場合、道路は鉄道との交差部分だけ低くなり、その先で再び地上の高さへ戻ります。
つまり、アンダーパスは単に「地下にある道路」というより、道路や鉄道などとの上下関係を表す言葉と考えると分かりやすいでしょう。
地下道は「地下にある通路」という意味が広い
一方、地下道は地下につくられた道路や通路を広く表す言葉です。
駅前にある歩行者用地下道や、大きな道路の下を横断するための地下通路なども地下道と呼ばれます。
必ずしも道路や鉄道を立体交差させるための車道とは限りません。
そのため、
「アンダーパス=地下道」
と完全に同じ意味として考えるより、
「アンダーパスの中には地下道のように見えるものもある」
と考えたほうが分かりやすいでしょう。
見た目だけでは区別しにくいこともある
実際の道路では、アンダーパスと地下道の境界が分かりにくい場合もあります。
道路が下り坂になり、鉄道の下を通って再び上る構造であれば、典型的なアンダーパスです。
一方、地下に長く続く道路や歩行者用通路などは、地下道と呼ばれることがあります。
名称だけで判断するよりも、
「何かと立体交差するために下を通っているのか」
「地下に設けられた通路そのものを指しているのか」
を見ると違いを理解しやすくなります。
次は、こちらも混同しやすい「アンダーパス」と「高架下」の違いを見ていきましょう。
アンダーパスと高架下の違い

アンダーパスと高架下は、どちらも道路や鉄道などの下を通る場所に見えるため、同じものだと思われることがあります。
しかし、アンダーパスと高架下では、何を基準にした言葉なのかが異なります。
まずは違いを比較してみましょう。
| 比較項目 | アンダーパス | 高架下 |
|---|---|---|
| 基本的な意味 | 道路や鉄道などの下を通る道路・通路 | 高架になった道路や鉄道の下の空間 |
| 注目する場所 | 下を通る道路・通路 | 高架構造物の下 |
| 道路の高さ | 周囲より低くなることが多い | 必ずしも低くならない |
| 冠水 | 低い構造では注意が必要 | 高架下というだけで冠水しやすいわけではない |
| 利用方法 | 主に通行 | 道路・店舗・駐車場などさまざま |
アンダーパスは下側を通る道路や通路
アンダーパスは、道路や鉄道などとの交差部分で、その下側を通る道路や通路を指します。
たとえば、地上を走る鉄道の下を通るために道路を掘り下げ、交差部分を通過したあと再び地上の高さまで上る構造です。
このような場所では道路面が周囲より低くなるため、雨水が集まりやすくなる場合があります。
高架下は高架構造物の下にある空間
高架下とは、高架になっている鉄道や道路などの下にできる空間のことです。
高架鉄道の下に道路が通っていることもあれば、駐車場や店舗、倉庫、歩行者用のスペースなどとして利用されていることもあります。
つまり、高架下は道路そのものの種類を表しているわけではありません。
「高架になった構造物の下にある場所」を広く表す言葉です。
高架下を通る道路がすべてアンダーパスとは限らない
ここが混同しやすいポイントです。
高架鉄道の下を道路が通っていれば、見た目はアンダーパスによく似ています。
しかし、道路面が周囲とほぼ同じ高さのままで、高架になった鉄道がその上を通っている場合もあります。
一方、道路側を掘り下げて鉄道や別の道路の下を通している場合は、典型的なアンダーパスの構造です。
簡単に整理すると、
「アンダーパス=下を通る道路・通路に注目した言葉」
「高架下=高架構造物の下にある空間に注目した言葉」
と考えると違いが分かりやすいでしょう。
「高架下=冠水しやすい」とは限らない
アンダーパスと高架下の違いは、大雨のときにも重要です。
道路面が周囲より低いアンダーパスでは、周辺から雨水が流れ込みやすく、冠水する危険があります。
一方、高架下というだけで道路面が低くなっているとは限りません。
そのため、「高架下だから冠水しやすい」と一律に考えることはできません。
大雨の際に注意したいのは、高架があるかどうかだけではなく、道路が周囲より低くなっているかどうかです。
次は、アンダーパスとは反対の位置関係にある「オーバーパス」との違いを見ていきましょう。
アンダーパスとオーバーパスの違い
アンダーパスと対になる言葉として「オーバーパス」があります。
どちらも道路や鉄道などを異なる高さで交差させる「立体交差」に関係する言葉ですが、違いは上を通るか下を通るかです。
まずは簡単に比較してみましょう。
| 比較項目 | アンダーパス | オーバーパス |
|---|---|---|
| 英語 | underpass | overpass |
| 通る位置 | 下側 | 上側 |
| 主な構造 | 道路などを掘り下げることが多い | 橋や高架などで上を通す |
| 立体交差 | 該当する | 該当する |
| 冠水への注意 | 低い場所では特に必要 | アンダーパスより雨水が集まりにくい |
アンダーパスは下側を通る
アンダーパスは、道路や鉄道などとの交差部分で下側を通る道路や通路です。
たとえば、鉄道が地上を走っていて、その下を通るために道路を掘り下げる構造があります。
道路はいったん下り、鉄道の下を通過したあと再び上っていきます。
このような構造では周囲より道路面が低くなるため、大雨の際には雨水が集まりやすくなることがあります。
オーバーパスは上側を通る
オーバーパスは反対に、道路や鉄道などの上側を通る構造です。
たとえば、道路同士が交差する場所で、一方の道路を橋のように持ち上げて、もう一方の道路の上を通す方法があります。
高速道路のインターチェンジや大きな交差点などでも、道路が上下に分かれている光景を見ることがあります。
この上側を通る部分がオーバーパスです。
どちらも立体交差の一つ
アンダーパスとオーバーパスには、「道路や鉄道を同じ高さで交差させない」という共通点があります。
同じ高さで道路や鉄道が交差する「平面交差」に対して、高さを変えて交差させる方法が「立体交差」です。
つまり、
「下を通す → アンダーパス」
「上を通す → オーバーパス」
「上下に分けて交差させる仕組み → 立体交差」
という関係になります。
アンダーパスとオーバーパスはどちらを作る?
道路や鉄道を立体交差させるときに、必ずアンダーパスになるわけではありません。
周辺の地形や道路の状況、鉄道の高さ、土地の利用状況などによって、下を通す方法と上を通す方法が選ばれます。
アンダーパスは道路を低くできる一方、雨水が集まりやすくなるため排水設備が重要です。
オーバーパスは道路を高くするため、橋や高架などの構造物が必要になります。
どちらにも特徴があり、その場所に適した方法で立体交差がつくられています。
次は、見た目がよく似ている「アンダーパス」と「トンネル」の違いを見ていきましょう。
アンダーパスとトンネルの違い
アンダーパスは道路や鉄道などの下を通るため、見た目が短いトンネルのようになっていることがあります。
そのため、「アンダーパスとトンネルは何が違うの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
大きな違いは、長さだけではなく、何のためにつくられているかという点です。
| 比較項目 | アンダーパス | トンネル |
|---|---|---|
| 基本的な意味 | 道路や鉄道などの下を通る道路・通路 | 山や地中などを通り抜けるための構造物 |
| 主な目的 | 道路や鉄道などとの立体交差 | 山・地中などを貫いて通行路を確保 |
| 長さ | 比較的短いものが多い | 短いものから非常に長いものまである |
| 道路の高さ | 周囲より低くなることが多い | 場所によって異なる |
| 冠水への注意 | 低い構造では特に必要 | 地形や排水設備などによって異なる |
アンダーパスは交差するものの「下を通る」
アンダーパスは、道路や鉄道などと交差するときに、その下側を通るためにつくられます。
たとえば、地上を走る鉄道の下に道路を通す場合、道路はいったん低くなり、線路の下をくぐってから再び上っていきます。
つまり、アンダーパスでは「何の下を通っているのか」が重要です。
道路や鉄道などとの位置関係を表していると考えると分かりやすいでしょう。
トンネルは山や地中などを通り抜ける構造物
一方、トンネルは山や地中などに通路を設け、人や車、鉄道などが通れるようにした構造物です。
山を越える代わりに山の中を通ったり、都市部の地下に道路や鉄道を通したりするためにつくられます。
道路だけでなく、鉄道や地下鉄などでもトンネルは利用されています。
アンダーパスのように「交差する道路や鉄道の下を通ること」が必須というわけではありません。
「短ければアンダーパス、長ければトンネル」ではない
見た目だけを見ると、アンダーパスは短いトンネルのように感じることがあります。
しかし、
「短いもの=アンダーパス」
「長いもの=トンネル」
と長さだけで区別することはできません。
重要なのは、その構造物がどのような目的で設けられているかです。
道路や鉄道などとの立体交差で下側を通ることに注目すればアンダーパス、山や地中などを通り抜ける構造物に注目すればトンネルと考えると違いを理解しやすくなります。
アンダーパスがトンネルのように見えることもある
アンダーパスの上に幅の広い道路や鉄道施設などがあると、覆われている部分が長くなり、トンネルのように見える場合があります。
そのため、見た目だけで「これはアンダーパス」「これはトンネル」と判断するのが難しい場所もあります。
名称だけにこだわるより、
「何かと立体交差するために下を通っているのか」
「山や地中などを通り抜けるためにつくられているのか」
という目的や構造を見ると理解しやすいでしょう。
ここまでアンダーパスと似た言葉との違いを見てきました。
では、そもそも道路をわざわざ低くしてまでアンダーパスをつくるのはなぜなのでしょうか。
次は、アンダーパスをつくる主な理由を見ていきます。
なぜアンダーパスを作るの?

アンダーパスは道路を掘り下げる必要があり、排水設備なども必要になります。
それでもアンダーパスがつくられるのは、道路や鉄道を立体交差させることで、交通をより安全でスムーズにできるからです。
主な理由を見ていきましょう。
踏切をなくすことができる
鉄道と道路が同じ高さで交差すると、基本的に踏切が必要になります。
列車が通過するたびに遮断機が下り、車や歩行者は待たなければなりません。
そこで道路を掘り下げて線路の下を通せば、鉄道と道路を立体的に分けることができます。
列車が通過していても道路を通れるため、踏切による待ち時間を減らせます。
渋滞の緩和につながる
交通量の多い道路では、踏切や交差点が渋滞の原因になることがあります。
特に列車の本数が多い場所では、踏切が頻繁に閉まり、車の列が長くなることもあります。
アンダーパスによって道路と鉄道を分離すれば、列車の通過を待つ必要がなくなり、交通の流れを改善できる場合があります。
道路同士を立体交差させる場合も、交差点での信号待ちを減らす効果が期待できます。
道路と鉄道の安全性を高められる
踏切では、車や歩行者と列車が同じ場所を通ります。
一方、アンダーパスにして道路と鉄道を上下に分離すれば、列車と車が直接交差しません。
踏切事故などの危険を減らすことにつながります。
上に大きな高架をつくらずに立体交差できる
立体交差には、道路を上に持ち上げるオーバーパスという方法もあります。
しかし、周辺の地形や建物、道路の接続状況などによっては、道路を上に持ち上げるよりも下へ通したほうが適している場合があります。
アンダーパスとオーバーパスのどちらを採用するかは、その場所の条件に合わせて検討されます。
アンダーパスにもデメリットがある
便利なアンダーパスですが、メリットばかりではありません。
道路を周囲より低くする場合は雨水が集まりやすくなるため、排水設備が重要になります。
また、建設工事や維持管理、排水ポンプなどの設備にも費用がかかります。
特に注意したいのが、大雨による冠水です。
普段は問題なく通れるアンダーパスでも、短時間に大量の雨が降ると状況が大きく変わることがあります。
次は、この記事のもう一つの重要なテーマである「アンダーパスはなぜ冠水しやすいのか」を詳しく見ていきましょう。
アンダーパスはなぜ冠水しやすい?

大雨のニュースなどで「アンダーパスが冠水した」という言葉を聞くことがあります。
では、なぜアンダーパスは冠水しやすいのでしょうか。
大きな理由は、道路面が周囲より低くなっていることです。
道路を掘り下げて鉄道や別の道路の下を通すアンダーパスでは、雨水が低い場所へ流れ込みやすくなります。
周囲から雨水が流れ込む
雨が降ると、道路や周辺に降った雨水は低い場所へ流れていきます。
アンダーパスは道路がいったん下り坂になり、交差部分付近が低くなっていることが多いため、両側から雨水が集まりやすい構造です。
イメージとしては、道路の一部がおわんの底のように低くなっている状態です。
通常の雨であれば排水設備によって水を外へ排出できますが、短時間に大量の雨が降ると流れ込む水の量が急激に増えることがあります。
排水ポンプなどで雨水を排出している
低い場所へ流れ込んだ雨水をそのままにしておけば、アンダーパスには水がたまってしまいます。
そのため、アンダーパスでは排水設備を使って雨水を外へ排出する仕組みが設けられている場合があります。
代表的なのが排水ポンプです。
低い場所に集まった雨水を排水施設へ集め、ポンプでくみ上げて排出します。
普段はこの仕組みによって、アンダーパスを安全に通行できる状態が保たれています。
集中豪雨では排水が追いつかないことがある
問題になるのが、ゲリラ豪雨や線状降水帯などによって短時間に大量の雨が降った場合です。
排水設備には処理できる水量に限界があります。
流れ込む雨水の量が排水能力を上回ると、水位が上昇して道路が冠水することがあります。
そのため、「排水ポンプがあるから絶対に冠水しない」というわけではありません。
短時間で水位が上がることもある
アンダーパスの冠水で特に注意したいのは、状況が短時間で変化する可能性があることです。
車で近づいたときには水が浅く見えても、その後さらに雨水が流れ込めば水位が上昇することがあります。
また、水が濁っていると道路面が見えず、実際の水深を運転席から正確に判断するのは困難です。
「前の車が通ったから大丈夫」
「これくらいの水なら通れそう」
と自己判断して進入するのは危険です。
冠水を知らせる設備が設置されている場所もある
冠水する危険があるアンダーパスでは、注意を呼びかける看板や表示板、冠水を検知する設備などが設けられている場合があります。
大雨のときに「冠水」「通行止め」などの表示が出ている場合は、絶対に無理をして進入せず、別の道路へ迂回しましょう。
アンダーパスが冠水しやすい理由を簡単に整理すると、
「周囲より道路が低い」
↓
「雨水が低い場所へ集まる」
↓
「排水設備で水を外へ出す」
↓
「大雨で流入量が排水能力を超える」
↓
「水がたまり冠水する」
という流れです。
では、実際にアンダーパスが冠水しているのを見つけた場合、車でどのように対応すればよいのでしょうか。
次は、冠水したアンダーパスに車で入る危険性について見ていきます。
アンダーパスが冠水していたら車で入っても大丈夫?

アンダーパスに水がたまっていても、「これくらいなら車で通れそう」と感じることがあるかもしれません。
しかし、冠水しているアンダーパスには車で進入しないことが基本です。
水深は運転席から正確に判断するのが難しく、進んでいる途中で車が動かなくなる危険があります。
見た目だけでは水深が分からない
冠水した道路では、水が濁って道路面が見えなくなることがあります。
そのため、入口から見ただけでは、
「どのくらい深いのか」
「最も低い場所ではどこまで水がたまっているのか」
を正確に判断できません。
アンダーパスは中央付近が低くなっていることが多いため、入口では浅く見えても、奥へ進むほど深くなっている可能性があります。
冠水した道路では車が動かなくなることがある
水深が増すと、車のエンジンや電気系統などに水が入り、走行できなくなるおそれがあります。
さらに水位が高くなると、車体が浮いたり、水の力によって流されたりする危険もあります。
車内に水が入り始めると、ドアが開けにくくなるなど、脱出が難しくなる可能性もあります。
「車だから多少の水なら大丈夫」と考えないことが大切です。
前の車が通れたからといって安全とは限らない
前を走っている車が冠水したアンダーパスを通り抜けると、「自分も行ける」と思ってしまうかもしれません。
しかし、車によって車高や構造は異なります。
また、大雨の最中には数分の間にも水位が変化する可能性があります。
前の車が通れたことは、自分の車も安全に通れるという判断材料にはなりません。
冠水表示や通行止めがあれば必ず従う
冠水する危険があるアンダーパスには、注意看板や電光表示板、通行止めの設備などが設置されていることがあります。
「冠水」
「通行止め」
「進入禁止」
などが表示されている場合は、そのまま進まず迂回しましょう。
表示が出ていなくても、道路に水がたまっていることを確認した場合は、無理に進入しないほうが安全です。
大雨のときはアンダーパスを避けることも大切
大雨が降っているときや、大雨警報などが発表されているときは、普段利用しているアンダーパスが冠水する可能性も考えておきましょう。
いつもの道路だからと油断せず、状況によっては早めに別のルートへ変更することが大切です。
冠水したアンダーパスを見つけたときは、
「水深を自分で判断して進む」のではなく、
「冠水していたら進入せず、迂回する」
と覚えておくとよいでしょう。
アンダーパスは日常生活では便利な道路ですが、大雨の際には普段とは異なる危険が生じます。
大雨による冠水や車の水没に備えて、車内に緊急脱出用ハンマーを用意しておく方法もあります。
ただし、脱出用ハンマーならどれでもよいわけではなく、割れないガラスがあることや、製品選びにも注意が必要です。
緊急脱出用ハンマーの必要性やガラスが割れない原因、JIS規格を含めた選び方については、こちらの記事で詳しく解説しています。

次は、ここまでの内容をもとに「アンダーパスで勘違いしやすいポイント」を整理してみましょう。
アンダーパスで勘違いしやすいポイント
アンダーパスは身近な道路ですが、地下道や高架下、トンネルなどと見た目が似ているため、意味を勘違いしやすい言葉でもあります。
ここでは、特に間違えやすいポイントを整理してみましょう。
「地下にある道路=すべてアンダーパス」ではない
アンダーパスは、道路や鉄道などの下を通ることに注目した言葉です。
そのため、地下にある道路や通路がすべてアンダーパスというわけではありません。
地下に長く続く道路や歩行者用通路などは、地下道や地下道路などと呼ばれることがあります。
「高架下=アンダーパス」とは限らない
高架鉄道や高架道路の下を車で通ると、アンダーパスのように感じるかもしれません。
しかし、高架下とは高架構造物の下にある空間を表す言葉です。
道路面が周囲とほぼ同じ高さのまま高架の下を通っている場所もあります。
一方、道路側を掘り下げて鉄道や道路の下を通す構造は、典型的なアンダーパスです。
「短いトンネル=アンダーパス」ではない
アンダーパスは上部が覆われているため、短いトンネルのように見えることがあります。
しかし、長さだけでアンダーパスとトンネルを区別することはできません。
アンダーパスは道路や鉄道などとの立体交差で下側を通ることに注目した言葉です。
トンネルは山や地中などを通り抜けるためにつくられた構造物を指します。
見た目だけではなく、目的や構造を見ることがポイントです。
アンダーパスが必ず冠水するわけではない
「アンダーパス=大雨になると必ず冠水する」と考えるのも正確ではありません。
アンダーパスには雨水を排出するための設備が設けられている場合があります。
通常の雨であれば、排水設備によって水が排出されます。
ただし、短時間に大量の雨が降り、流れ込む雨水が排水能力を上回ると冠水する危険があります。
「水が浅ければ車で通れる」と自己判断しない
冠水したアンダーパスを見て、水が浅そうだから通れると判断するのは危険です。
アンダーパスは奥へ進むほど道路面が低くなっている場合があり、入口から最も深い部分の水深を判断することはできません。
また、大雨が続いていれば短時間で水位が上がる可能性もあります。
冠水している場合は進入せず、別の道路へ迂回することが大切です。
「前の車が通れた=自分も通れる」ではない
前を走る車が冠水した場所を通過できても、自分の車も安全に通れるとは限りません。
車高や車の構造は車種によって異なります。
さらに、前の車が通過したあとに水位が上昇することも考えられます。
ほかの車の行動を基準にせず、冠水した道路には入らないようにしましょう。
アンダーパスについては、
「何の下を通っているのか」
「道路面は周囲より低いのか」
「大雨で冠水する危険はないか」
という3つのポイントを押さえておくと、似た言葉との違いや安全上の注意点を理解しやすくなります。
アンダーパスについてよくある質問
最後に、アンダーパスについてよくある疑問をQ&A形式でまとめます。
Q. アンダーパスとは簡単にいうと何ですか?
アンダーパスとは、道路や鉄道などの下を通る道路や通路のことです。
道路や鉄道を同じ高さで交差させず、上下に分ける「立体交差」の一つと考えると分かりやすいでしょう。
Q. アンダーパスは日本語で何といいますか?
アンダーパスをすべての場合に当てはめられる一つの日本語に置き換えるのは難しく、「地下道」などと表現されることもあります。
ただし、地下道とアンダーパスは完全に同じ意味ではありません。
日本でも道路や防災に関する情報では「アンダーパス」という言葉がそのまま使われています。
Q. アンダーパスは英語ですか?
はい。「underpass」という英語からきています。
「under」は「下」、「pass」は「通る・通過する」といった意味があり、道路や鉄道などの下を通る道路・通路を表します。
Q. アンダーパスと地下道の違いは何ですか?
アンダーパスは「道路や鉄道などの下を通ること」に注目した言葉です。
一方、地下道は「地下につくられた通路」であることに注目した言葉です。
見た目が似ている場合もありますが、言葉の基準が異なります。
Q. アンダーパスと高架下は同じですか?
同じとは限りません。
高架下は、高架になった道路や鉄道などの下にある空間を指します。
高架下の道路は周囲と同じ高さにある場合もありますが、アンダーパスは道路などの下側を通る道路・通路を指します。
Q. アンダーパスとトンネルの違いは何ですか?
アンダーパスは、道路や鉄道などとの立体交差で下側を通ることに注目した言葉です。
トンネルは、山や地中などを通り抜けるためにつくられた構造物です。
単純に「短いものがアンダーパス、長いものがトンネル」という違いではありません。
Q. アンダーパスはなぜ冠水しやすいのですか?
道路面が周囲より低くなっているアンダーパスでは、雨水が低い部分へ流れ込みやすいためです。
通常は排水設備によって雨水を排出しますが、集中豪雨などで流れ込む水の量が排水能力を上回ると、冠水することがあります。
Q. 冠水したアンダーパスは車で通れますか?
冠水している場合は進入せず、迂回することが基本です。
入口では水が浅く見えても、奥の低い部分では深くなっている可能性があります。
水深を見た目だけで判断せず、冠水表示や通行止めがある場合は必ず従いましょう。
Q. アンダーパスの反対は何ですか?
位置関係で対になる言葉は「オーバーパス(overpass)」です。
アンダーパスが下側を通るのに対して、オーバーパスは道路や鉄道などの上側を通ります。
どちらも道路や鉄道を異なる高さで交差させる立体交差の一つです。
まとめ|アンダーパスは道路や鉄道の下を通る立体交差
アンダーパスとは、道路や鉄道などと交差するときに、その下側を通る道路や通路のことです。
英語では「underpass」と書き、「下を通る」という意味から使われています。
日本語では地下道などと表現されることもありますが、アンダーパスと地下道は完全に同じ意味ではありません。
アンダーパスは「道路や鉄道などの下を通ること」、地下道は「地下につくられた通路であること」に注目した言葉です。
また、高架下やトンネルとも意味が異なります。
今回のポイントを整理すると、次のようになります。
- アンダーパスは道路や鉄道などの下を通る道路・通路
- 英語では「underpass」
- 上側を通るものは「overpass(オーバーパス)」
- 地下道は地下につくられた道路や通路を広く表す
- 高架下は高架構造物の下にある空間
- トンネルとは目的や構造が異なる
- 道路面が周囲より低いアンダーパスでは雨水が集まりやすい
- 大雨では排水能力を超えて冠水することがある
- 冠水しているアンダーパスには車で進入しない
アンダーパスは、踏切をなくしたり交通をスムーズにしたりするために役立つ身近な道路構造です。
一方で、周囲より低くなっている場所では、大雨による冠水に注意する必要があります。
普段からよく通るアンダーパスがある場合は、大雨の際に利用できる別のルートも確認しておくと安心です。
「水が浅そうだから通れそう」と判断せず、冠水している場合は無理に進入せず迂回するようにしましょう。