
ニュースで台風情報を見ていると、「台風1号」「台風2号」のように番号で呼ばれることが多いですよね。
ところが、海外のニュースや気象情報では「台風コイヌ」「台風ヤギ」「ハリケーン・カトリーナ」など、名前で呼ばれているのを見かけることがあります。
「台風に名前があるの?」 「誰がその名前を決めているの?」 「日本ではなぜ番号で呼ぶことが多いの?」
このように疑問に思ったことがある方もいるのではないでしょうか。
実は、台風の名前は気象庁がその場で自由に決めているわけではありません。日本を含む国や地域が参加する国際的な仕組みによって、あらかじめ決められた名前のリストから順番に付けられています。
また、アメリカ周辺で発生するハリケーンには「カトリーナ」「サンディ」「マイケル」など、人の名前のような名前が付けられることもあります。台風とハリケーンはまったく別物のように見えますが、実は発生する場所によって呼び方が変わる同じ種類の気象現象です。
この記事では、台風の名前は誰が決めているのか、日本が命名した台風名10件、アメリカのハリケーン名との違い、そして名前が引退するケースまで、わかりやすく解説します。
台風の名前は誰が決める?
台風の名前は、日本の気象庁だけが決めているわけではありません。
北西太平洋や南シナ海で発生する台風には、「台風委員会」という国際的な組織が決めた名前リストをもとに、順番に名前が付けられています。
この名前は「アジア名」と呼ばれることがあります。
台風委員会には、日本を含む複数の国や地域が参加しており、それぞれが名前を提案しています。提案された名前を一覧にして、台風が発生するたびに順番に使っていく仕組みです。
つまり、台風の名前は、毎回誰かが思いつきで付けているのではなく、あらかじめ決められたリストに沿って使われているのです。
台風には「番号」と「名前」がある
日本では、台風というと「台風1号」「台風2号」「台風10号」のように、番号で呼ぶことが多いです。
この番号は、その年の1月1日以降に発生した台風に対して、発生した順番で付けられます。
たとえば、その年に最初に発生した台風は「台風1号」、2番目に発生した台風は「台風2号」となります。
一方で、国際的には台風に名前も付けられています。
たとえば、台風の名前として、
・コイヌ ・ヤギ ・ウサギ ・カジキ ・クジラ
などが使われることがあります。
日本では番号のほうがなじみ深いため、ニュースでも「台風○号」と表現されることが多いですが、海外向けの情報や専門的な気象情報では名前が使われることもあります。
つまり、ひとつの台風に対して、番号と名前の両方が存在することがあるのです。
台風の名前はどうやって付けられる?
台風の名前は、あらかじめ用意された名前リストから順番に使われます。
台風委員会に参加する国や地域が、それぞれ名前を提案し、合計140個の名前がリスト化されています。
台風が発生すると、この140個の名前を順番に使っていきます。最後まで使い終わると、また最初に戻って繰り返し使われます。
そのため、同じ名前の台風が数年後に再び登場することがあります。
ただし、例外もあります。
大きな被害をもたらした台風の名前は、再び使われないようにリストから外されることがあります。これを「名前の引退」と考えるとわかりやすいです。
災害の記憶が強く残る名前を何度も使うと、混乱を招いたり、被害を受けた人の気持ちに配慮が必要になったりするためです。
14の国・地域はどんな名前を提案しているの?
台風の名前は、日本だけが決めているわけではありません。
北西太平洋や南シナ海で発生する台風については、「台風委員会」に参加する14の国・地域が、それぞれ10個ずつ名前を提案しています。
そのため、台風の名前には国や地域ごとの文化や自然、神話、動物などが反映されています。
代表的な特徴をまとめると次のようになります。
| 国・地域 | 名前の特徴の例 |
|---|---|
| カンボジア | 花や植物 |
| 中国 | 神話や自然現象 |
| 北朝鮮 | 鳥や自然 |
| 香港 | 地名や自然 |
| 日本 | 星座 |
| ラオス | 動物や自然 |
| マカオ | 植物や文化 |
| マレーシア | 動物や魚 |
| ミクロネシア | 自然や伝説 |
| フィリピン | 動物や自然現象 |
| 韓国 | 昆虫や自然 |
| タイ | 神話や花 |
| アメリカ | 人名や文化に由来する名前 |
| ベトナム | 山や川などの地形 |
たとえば、日本は「コイヌ」「ヤギ」「カジキ」など星座の名前を提案しています。
一方、中国は神話や伝説に由来する名前、タイは神話や花の名前、フィリピンは動物や自然現象に関係する名前を提案しています。
このように、台風名の一覧を見ると、それぞれの国や地域の文化や価値観が反映されていることがわかります。
単なる記号や番号ではなく、国際協力の中で決められた名前だからこそ、台風名にはさまざまな意味が込められているのです。
日本が命名した台風の名前10件
台風の名前リストには、日本が提案した名前も10件入っています。
日本が提案した名前は、主に星座に由来しています。
| 台風名 | 由来 |
|---|---|
| コイヌ | こいぬ座 |
| ヤギ | やぎ座 |
| ウサギ | うさぎ座 |
| カジキ | かじき座 |
| コト | こと座 |
| クジラ | くじら座 |
| コグマ | こぐま座 |
| コンパス | コンパス座 |
| トカゲ | とかげ座 |
| ヤマネコ | やまねこ座 |
「コイヌ」や「ウサギ」と聞くと、台風の名前としては少しかわいらしく感じるかもしれません。
しかし、これらは単なる動物名ではなく、星座の名前から取られています。
日本が星座名を提案している理由としては、特定の個人名や企業名、地名などに偏らず、比較的中立的な名前にしやすいことが挙げられます。また、台風は大気や空に関係する現象なので、星座とのイメージもつながりやすいと考えられます。
なぜ日本の台風名は星座が多いの?
日本が提案した台風名は、ほとんどが星座に関係しています。
これは、星座の名前が比較的中立的で、国や地域による利害関係が生じにくいからです。
たとえば、人名や地名を使うと、特定の人物や地域を連想させる場合があります。商標や企業名に近い名前も避ける必要があります。
その点、星座名であれば、自然や空に関係する名前として受け入れられやすく、台風という気象現象ともイメージがつながります。
また、名前は国際的に使われるため、発音しやすいことや、長すぎないことも大切です。
「コイヌ」「ヤギ」「コト」などは短く、比較的読みやすい名前です。
台風名は強そうな名前を付けるためのものではありません。大切なのは、国や地域を越えて情報を共有しやすくすることです。
アメリカのハリケーンは誰が名前を決める?
アメリカ周辺で発生するハリケーンにも、名前が付けられています。
有名なものでは、
・ハリケーン・カトリーナ ・ハリケーン・サンディ ・ハリケーン・マリア ・ハリケーン・マイケル
などがあります。
これらの名前は、人の名前のように見えるものが多いのが特徴です。
アメリカ周辺のハリケーン名も、気象担当者がその場で自由に決めているわけではありません。世界気象機関、つまりWMOの仕組みによって、あらかじめ用意された名前リストが使われています。
大西洋のハリケーンでは、名前はアルファベット順に使われます。
たとえば、Aから始まる名前、Bから始まる名前、Cから始まる名前というように、その年の発生順に名前が付けられていきます。
名前のリストは複数年分用意されており、通常は一定の周期で繰り返し使われます。
台風とハリケーンの違いは?
台風とハリケーンは、まったく別の気象現象のように思われがちですが、基本的には同じ種類の熱帯低気圧です。
違いは、主に発生する場所です。
| 呼び方 | 主な発生場所 |
| 台風 | 北西太平洋、南シナ海周辺 |
| ハリケーン | 大西洋、北東太平洋周辺 |
| サイクロン | インド洋、南太平洋周辺 |
つまり、同じような性質を持つ強い熱帯低気圧でも、発生する地域によって呼び方が変わります。
日本の近くで発生するものは「台風」、アメリカやカリブ海周辺で発生するものは「ハリケーン」、インド洋周辺では「サイクロン」と呼ばれることが多いです。
名前の付け方にも地域ごとの違いがあります。
日本を含むアジアの台風名は、国や地域が提案した自然や文化に関係する名前が多く使われます。一方、アメリカ周辺のハリケーン名は、人名のような名前が多く使われます。
なぜアメリカのハリケーンは人名が多いの?
アメリカのハリケーンに人名が多い理由は、情報を伝えやすくするためです。
昔は緯度や経度などの位置情報で嵐を区別していましたが、それだけでは一般の人にとってわかりにくいという問題がありました。
そこで、短く覚えやすい名前を付けることで、ニュースやラジオ、避難情報などで伝えやすくなりました。
たとえば、「大型のハリケーンが接近しています」と言うより、「ハリケーン・カトリーナが接近しています」と言ったほうが、どの嵐のことなのか区別しやすくなります。
また、同じ時期に複数の熱帯低気圧が発生している場合も、名前があると混乱を防ぎやすくなります。
現在では、男性名と女性名の両方が使われています。
大きな被害を出した名前は引退することがある
台風やハリケーンの名前は、基本的には繰り返し使われます。
しかし、大きな被害を出した台風やハリケーンの名前は、リストから外されることがあります。
たとえば、アメリカ周辺のハリケーンでは、
・カトリーナ ・サンディ ・マリア ・マイケル
などの名前が、被害の大きさなどを理由に再使用されない名前となっています。
これは、災害の記憶が強く残っている名前を再び使うことで混乱を招いたり、被災した人たちの心情に配慮したりするためです。
台風のアジア名でも、大きな災害をもたらした場合などには、加盟国や地域からの要請により名前が変更されることがあります。
名前は単なる呼び名ではなく、災害の記録や記憶とも結びついているのです。
日本ではなぜ台風を名前より番号で呼ぶの?
日本では、台風名よりも「台風○号」という番号で呼ぶことが一般的です。
その理由のひとつは、番号のほうが発生順を直感的に理解しやすいからです。
「台風10号」と聞けば、その年に10番目に発生した台風だとわかります。
また、日本の気象情報やニュースでは長年「台風○号」という表現が使われてきたため、多くの人にとって番号のほうがなじみがあります。
一方で、海外では台風名やハリケーン名で報道されることが多いため、名前のほうが一般的な地域もあります。
日本でも、海外ニュースや気象の専門情報では、台風のアジア名が紹介されることがあります。
台風に名前を付けるメリット
台風に名前を付けるメリットは、情報をわかりやすく伝えることです。
特に、複数の台風が同時に発生しているときには、名前があると区別しやすくなります。
たとえば、「台風A」「台風B」と言うよりも、「台風コイヌ」「台風ヤギ」のように名前があるほうが、どの台風について話しているのか把握しやすくなります。
また、国や地域をまたいで気象情報を共有するときにも、共通の名前があると便利です。
台風は日本だけに影響するものではありません。フィリピン、台湾、中国、韓国、ベトナムなど、広い地域に影響を及ぼすことがあります。
そのため、国際的に共通して使える名前があると、防災情報の共有にも役立ちます。
台風の名前に関するよくある疑問
台風の名前は毎年リセットされる?
台風の番号は毎年リセットされます。
その年の最初に発生した台風が「台風1号」となり、以後、発生順に番号が付けられます。
一方、台風の名前は140個のリストから順番に使われ、最後まで使うとまた最初に戻ります。
そのため、名前は毎年完全にリセットされるというより、リストに沿って順番に使われ続ける仕組みです。
同じ名前の台風がまた来ることはある?
あります。
台風の名前は繰り返し使われるため、数年後に同じ名前の台風が再び登場することがあります。
ただし、大きな被害を出した名前は、変更されることがあります。
日本が台風の名前を全部決めているの?
いいえ。日本だけが決めているわけではありません。
日本を含む複数の国や地域が名前を提案し、それらをまとめたリストから順番に使われています。
日本が提案している名前は10件で、主に星座に由来しています。
台風名はなぜかわいい名前が多いの?
「コイヌ」「ウサギ」「コグマ」などは、たしかにかわいらしく感じるかもしれません。
しかし、これらは動物のイメージだけで選ばれた名前ではなく、星座名に由来しています。
台風名は強さを表すものではなく、識別しやすくするための呼び名です。
そのため、名前がかわいいからといって、台風の勢力が弱いという意味ではありません。
ハリケーンの名前は人の名前なの?
アメリカ周辺のハリケーンでは、人名のような名前が多く使われています。
ただし、これも個人を指しているわけではなく、あらかじめ決められた名前リストから順番に使われています。
台風とハリケーンはどちらが強い?
「台風だから強い」「ハリケーンだから強い」という単純な違いではありません。
台風、ハリケーン、サイクロンは、発生場所によって呼び方が変わる同じ種類の熱帯低気圧です。
強さは名前ではなく、中心気圧、最大風速、進路、雨量などによって変わります。
まとめ
台風の名前は、気象庁がその場で自由に決めているわけではありません。
日本を含む国や地域が参加する台風委員会によって、あらかじめ決められた名前リストから順番に付けられています。
日本では「台風○号」という番号で呼ぶことが多いですが、国際的には「コイヌ」「ヤギ」「ウサギ」などのアジア名も使われています。
日本が提案した台風名10件は、主に星座に由来しています。
・コイヌ ・ヤギ ・ウサギ ・カジキ ・コト ・クジラ ・コグマ ・コンパス ・トカゲ ・ヤマネコ
一方、アメリカ周辺で発生するハリケーンには「カトリーナ」「サンディ」「マリア」など、人名のような名前が付けられることが多いです。
台風とハリケーンは別物ではなく、発生する場所によって呼び方が変わる同じ種類の気象現象です。
名前は、強さを表すためではなく、情報をわかりやすく伝え、複数の台風やハリケーンを区別しやすくするために使われています。
台風の名前を知っておくと、ニュースや気象情報を見るときに少し理解が深まります。番号だけでなく名前にも注目してみると、台風情報がより身近に感じられるかもしれませんね。