
ぷにぷに、どろどろ、びよーんと伸びる不思議なもの。
「スライム」と聞くと、子どものおもちゃを思い浮かべる人もいれば、ゲームに出てくる丸いモンスターを思い浮かべる人もいるかもしれません。
また、少し詳しい人なら、森の中にいる「粘菌」や、配管の中にできるぬめり汚れを思い浮かべることもあります。
実はスライムという言葉は、ひとつの意味だけではありません。
おもちゃ、ゲーム、生物、汚れなど、使われる場面によって意味が変わる言葉です。
この記事では、スライムとは何か、どんな種類があるのか、なぜ不思議な感触になるのかを、わかりやすく解説します。
スライムとは何?
スライムとは、もともと英語の「slime」から来た言葉で、ぬめり、粘液、どろどろしたものという意味があります。
日本では、主に次のような意味で使われます。
・おもちゃや科学実験で作るスライム
・ゲームやファンタジー作品に登場するモンスター
・粘菌などの不思議な生物
・配管や水回りにできるぬめり汚れ
同じ「スライム」という言葉でも、場面によってかなり意味が違います。
そのため、「スライムとは何?」と聞かれた場合は、どの分野のスライムを指しているのかによって答えが変わります。
本来は「ぬめり」や「粘液」を表す言葉
スライムの基本的なイメージは、ねばねば、ぬるぬる、どろどろしたものです。
たとえば、泥のようなもの、粘液のようなもの、形がはっきりしない柔らかいものなどが、スライムと呼ばれることがあります。
そこから、子ども向けのおもちゃや、ゲームのモンスター、実在する生物などにも使われるようになりました。
日本でよく知られているのはおもちゃとゲーム
日本で「スライム」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、手で触って遊ぶおもちゃのスライムではないでしょうか。
洗濯のりなどを使って作る実験遊びとしても有名です。
また、ゲーム好きの人にとっては、RPGに登場するスライム型のモンスターのイメージも強いでしょう。
特に日本では、ドラゴンクエストシリーズに登場する丸い形のスライムによって、親しみやすいキャラクターとして広く知られるようになりました。
スライムには主に4つの意味がある
スライムという言葉は、大きく分けると4つの意味で使われます。
ここでは、それぞれの違いを順番に見ていきましょう。
おもちゃ・科学実験のスライム
おもちゃや実験で作るスライムは、高分子ゲルと呼ばれるものの一種です。
難しく聞こえますが、簡単に言うと「水をたくさん含んだ、やわらかい網目状の物質」です。
よく使われる材料は、洗濯のりとホウ砂水です。
洗濯のりには、PVA、つまりポリビニルアルコールという成分が含まれているものがあります。
このPVAの長い分子の鎖に、ホウ砂の成分が橋をかけるように結びつくことで、網目のような構造ができます。
その網目の中に水が閉じ込められるため、スライムのようなぷにぷにした状態になります。
なぜ伸びたり形が変わったりするの?
スライムが伸びたり、ゆっくり形を変えたりするのは、内部の網目構造が完全に固いものではないからです。
水分を多く含み、分子同士のつながりが動きやすいため、引っ張ると伸びたり、置いておくとだんだん広がったりします。
つまり、液体のように流れる性質と、固体のようにまとまる性質をあわせ持っているのです。
この不思議な性質が、スライム遊びの面白さにつながっています。
自由研究にも使われる理由
スライムは、子どもの自由研究でも人気があります。
理由は、材料の量や混ぜ方によって、固さや伸び方が変わるからです。
たとえば、
・洗濯のりの量を変える
・水の量を変える
・ホウ砂水の濃さを変える
・混ぜる時間を変える
このように条件を変えると、スライムの感触も変わります。
そのため、「なぜ固まるのか」「どうすればよく伸びるのか」といったテーマで観察しやすいのです。
ゲームやファンタジー作品のスライム
ゲームやファンタジー作品に登場するスライムは、不定形のモンスターとして描かれることが多いです。
不定形とは、決まった形を持たないという意味です。
ゼリーのように柔らかく、体がどろどろしていて、自由に形を変える魔物として登場します。
なぜスライムという名前なの?
ゲームのスライムがそう呼ばれるのは、体がぬめぬめした粘液のようなものとして描かれているからです。
本来の「slime」が持つ、ぬめり、粘液、どろどろしたものという意味が、そのままモンスターの名前に使われています。
つまり、ゲームのスライムは、おもちゃのスライムと同じ名前ですが、意味としては「ぬめぬめした不定形の存在」に近いものです。
スライムが最初に登場した作品は?
「スライムが最初に登場した作品は何か」と聞かれると、実はひとつに断定するのは難しいです。
もともと英語の「slime」には、ぬめり、粘液、どろどろしたものという意味があります。そのため、昔の怪奇小説やSF作品などにも、粘液状・アメーバ状の怪物は登場していました。
現在のゲームに近い「スライム系モンスター」として有名なのは、1974年に登場したテーブルトークRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』です。この作品には、グリーンスライム、グレイウーズ、オーカーゼリーなど、どろどろした不定形のモンスターが登場しました。
つまり、ゲームやRPGに出てくるスライムの原型としては、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の影響が大きいと考えられます。
最初のスライムはドラゴンクエストではない
日本でスライムといえば、多くの人が『ドラゴンクエスト』の青くて丸いモンスターを思い浮かべるでしょう。
しかし、スライムというモンスター自体は、ドラゴンクエストが最初ではありません。
それ以前から、海外のファンタジー作品やRPGには、ぬめぬめした不定形のモンスターが登場していました。
ドラゴンクエストでかわいい存在に変わった
1986年に発売された『ドラゴンクエスト』では、鳥山明さんのデザインによって、丸くてかわいらしいスライムが登場しました。
もともとは「どろどろした怪物」のようなイメージだったものが、ドラゴンクエストでは親しみやすいキャラクターとして描かれたのです。ドラゴンクエストのスライムは、1986年の第1作から登場したキャラクターとして知られています。
それまでのスライムは、不気味で危険なモンスターとして描かれることも多かったのですが、ドラゴンクエストの登場によって、日本では「かわいいモンスター」というイメージが広まりました。
スライム像は少しずつ変化してきた
スライムのイメージは、時代や作品によって変わってきました。
昔の怪奇・SF作品では、粘液状の不気味な存在。
テーブルトークRPGでは、冒険者を襲う危険なモンスター。
ドラゴンクエストでは、かわいく親しみやすい人気キャラクター。
このように、スライムは「ぬめぬめした不定形のもの」という基本イメージを持ちながら、作品ごとに姿や役割を変えてきた存在なのです。
生物としてのスライム
実在する生物の中にも、「スライム」と関連して語られるものがあります。
代表的なのが粘菌です。
粘菌は、カビやキノコのように見えることもありますが、分類としては少し特殊な生き物です。
森の中の落ち葉や朽ち木の周辺などに見られることがあります。
粘菌とはどんな生き物?
粘菌は、アメーバのように動きながら、周囲の栄養を取り込んで成長します。
見た目は黄色っぽいものや白っぽいものなどがあり、種類によってさまざまです。
おもちゃのスライムのように手で遊ぶものではありませんが、ぬめりのある見た目や不思議な動きから、「本物のスライム」のように紹介されることがあります。
脳がないのに迷路を解く?
粘菌が注目される理由のひとつに、脳や神経を持たないのに、まるで考えているような行動をすることがあります。
たとえば、迷路の中に置かれたエサへ効率よく進むような動きをする実験が知られています。
もちろん、人間のように考えているわけではありません。
しかし、単純な生き物に見えても、環境に合わせて効率的に広がったり縮んだりする性質があるため、科学の分野でも関心を集めています。
配管や工場で使われるスライム
スライムという言葉は、配管や水回りのぬめり汚れを指すこともあります。
この場合のスライムは、おもちゃでもキャラクターでもなく、汚れや付着物のことです。
ぬめり汚れの正体
配管の内側や冷却塔、水がたまりやすい場所などでは、細菌やカビなどの微生物が増えることがあります。
それらが作り出すぬめり状の膜を、バイオフィルムと呼ぶことがあります。
このぬめりや泥のような汚れが、スライムと呼ばれる場合があります。
なぜ発生すると困るの?
配管や設備にスライムがたまると、水の流れが悪くなったり、においの原因になったりすることがあります。
また、設備の汚れや詰まりにつながることもあります。
家庭の排水口のぬめりをイメージすると、わかりやすいかもしれません。
水分、汚れ、温度などの条件がそろうと、ぬめりは発生しやすくなります。
おもちゃのスライムは何でできている?
ここからは、子どもにもなじみのある「おもちゃのスライム」について、もう少し詳しく見ていきましょう。
主な材料は洗濯のりとホウ砂
手作りスライムでよく使われる材料は、洗濯のり、水、ホウ砂水です。
洗濯のりに含まれるPVAという成分が、スライム作りの大事なポイントになります。
PVAは長い鎖のような分子です。
そこにホウ砂水を加えると、PVA同士がゆるやかにつながり、網目のような構造を作ります。
この網目の中に水が入り込むことで、ぷにぷにしたスライムになります。
高分子ゲルとは?
おもちゃのスライムは、高分子ゲルの一種です。
高分子とは、小さな分子がたくさんつながった大きな分子のことです。
ゲルとは、水分を多く含みながら、ある程度形を保っている物質のことです。
身近な例でいうと、ゼリーや寒天もゲルの仲間です。
ただし、おもちゃのスライムは食べ物ではありません。
見た目がゼリーに似ていても、絶対に口に入れないようにしましょう。
液体と固体の中間のような性質
スライムは、液体のように形を変えます。
でも、水のようにサラサラ流れるわけではありません。
手で持つとまとまりがあり、引っ張ると伸び、強く引っ張ると切れることもあります。
このように、液体と固体の中間のような性質を持っているところが、スライムの面白いところです。
スライムとゼリーの違い
スライムとゼリーは、見た目が少し似ています。
どちらもぷるぷるしていて、水分を多く含んでいます。
しかし、大きな違いがあります。
食べられるかどうかが違う
ゼリーは食べ物として作られています。
一方、おもちゃのスライムは遊ぶためのものです。
洗濯のりやホウ砂などを使って作る場合があるため、食べることはできません。
小さな子どもがいる家庭では、誤って口に入れないように注意が必要です。
目的が違う
ゼリーは食感や味を楽しむ食品です。
スライムは感触や動きの不思議さを楽しむおもちゃです。
似ているように見えても、目的も材料も違います。
スライムで遊ぶときの注意点
スライムは楽しいおもちゃですが、遊ぶときにはいくつか注意したいことがあります。
ここでは、一般的な注意点を紹介します。
口や目に入れない
おもちゃのスライムは食べ物ではありません。
口に入れたり、目の近くで遊んだりしないようにしましょう。
特に小さな子どもが遊ぶ場合は、大人がそばで見守ると安心です。
遊んだあとは手を洗う
スライムで遊んだあとは、手を洗いましょう。
手に材料や汚れが残っていることがあります。
また、遊ぶ前にも手を洗っておくと、スライムが汚れにくくなります。
服やカーペットにつけない
スライムは、服やカーペット、布製の家具につくと取りにくいことがあります。
遊ぶときは、テーブルの上にシートや新聞紙を敷いておくと安心です。
小さな子どもの誤飲に注意する
カラフルなスライムは、お菓子のように見えることもあります。
小さな子どもが間違えて口に入れないよう、使わないときは手の届かない場所に保管しましょう。
スライムが人気の理由
スライムは、子どもだけでなく大人にも人気があります。
その理由は、単に「遊べる」だけではありません。
感触が気持ちいい
スライムの魅力は、何といっても独特の感触です。
ぷにぷに、もちもち、びよーんと伸びる感覚は、他のおもちゃにはあまりない楽しさがあります。
手でこねたり、伸ばしたり、つぶしたりするだけでも面白いのです。
作る楽しさがある
スライムは、完成品で遊ぶだけでなく、自分で作る楽しさもあります。
色をつけたり、ラメを入れたり、ビーズを混ぜたりすると、自分だけのスライムを作ることができます。
作る過程そのものが実験のようで、子どもの好奇心を刺激します。
科学への入口になる
スライム作りは、遊びながら科学に触れられる体験でもあります。
なぜ固まるのか。
なぜ伸びるのか。
なぜ材料の量で感触が変わるのか。
こうした疑問を持つことで、化学や物質の性質に興味を持つきっかけになります。
よくある質問
Q. スライムとは簡単に言うと何ですか?
スライムとは、ぬめりや粘液のようなものを表す言葉です。
日本では、おもちゃ、ゲームのモンスター、粘菌、配管のぬめり汚れなど、いくつかの意味で使われます。
Q. おもちゃのスライムの正体は何ですか?
おもちゃのスライムは、高分子ゲルの一種です。
洗濯のりに含まれるPVAと、ホウ砂の成分が関係して、網目状の構造ができることで、ぷにぷにした状態になります。
Q. スライムはなぜ伸びるのですか?
スライムの中には水分が多く含まれており、分子同士がゆるやかにつながっています。
そのため、引っ張ると伸びたり、力のかけ方によって形が変わったりします。
Q. ゲームのスライムとおもちゃのスライムは同じですか?
同じ名前ですが、意味は違います。
おもちゃのスライムは実際に触って遊ぶ物質です。
ゲームのスライムは、ぬめぬめした不定形のモンスターとして作られたキャラクターです。
Q. 粘菌は本当にスライムなのですか?
粘菌そのものが、おもちゃのスライムと同じというわけではありません。
ただし、ぬめりのある見た目や不思議な動きから、「本物のスライム」のように紹介されることがあります。
Q. スライムは食べられますか?
おもちゃのスライムは食べられません。
見た目がゼリーのようでも、材料が食品ではない場合があります。
誤って口に入れないよう注意しましょう。
まとめ
スライムとは、もともと「ぬめり」や「粘液」のようなものを表す言葉です。
現在では、おもちゃ、ゲームのモンスター、粘菌、配管のぬめり汚れなど、さまざまな意味で使われています。
おもちゃのスライムは、PVAを含む洗濯のりとホウ砂の成分によって、網目状の構造が作られ、水分を閉じ込めることでぷにぷにした感触になります。
一方、ゲームのスライムは、不定形のモンスターとして描かれるキャラクターです。
さらに、粘菌のような実在の生物や、配管にできるバイオフィルムのような汚れも、スライムと呼ばれることがあります。
同じ「スライム」という言葉でも、分野によって意味は大きく変わります。
身近なおもちゃから、生物、ゲーム、設備の汚れまでつながっていると考えると、スライムはとても奥深い言葉だと言えるでしょう。